ヘロンの公式 | あの矢印を敢えて使って公式を導いておくと空間座標などへの練習になる

ヘロンの公式-サムネイル

ヘロンの公式 (Heron’s formula) は三角比の単元で発展的な内容として学習します。

高校一年の時の自分にアドバイスをできるなら、「ベクトルを使って導けるようになっておく良い」ということを言うと思います。

空間座標でも使えるので、ベクトルを学習したら、ヘロンの公式をベクトルを使って証明できるように練習しておくと役立ちます。

※ ベクトルの計算練習にもなるので一石二鳥です。

内積と余弦定理に関連する三角形の面積の求め方も空間図形で使える形を視野に入れて証明をします。

ヘロンの公式

三角比の単元で学習をするときに、辺の長さを表す文字を使って、先ほどの図の赤色で囲っている式で表されます。

もちろん、同一の平面上にある異なる三点で形成される三角形についての面積を表す式なので、三角比だけの内容で証明ができます。

ただ、ベクトルで証明をしておくと、空間座標に関連する内容の空間ベクトルに慣れることができます。

しかも空間内の一つの平面上にある三角形の面積を求めることができるようになるため、証明をベクトルで考えたことが役に立ちます。

辺の長さをベクトルで表す

ヘロンの公式-三角比-ベクトル

三角形 OAB ですが、点 O を空間座標の原点と考えます。そうすると、ベクトル OA とベクトル OB を位置ベクトルで表すことができます。

さらに、線分 OA と線分 OB の長さは、ベクトルの大きさなので、絶対値の記号を使って、図のように表せます。

ただし、線分 AB の長さは、c として、議論を進めます。

∠ AOB = θ とおいて、三角形の面積 K を表すことにします。また、点 B から辺 OA に垂線を引き、三角形の高さを三角比を用いて表しています。

そして、三角比の単元で学習した三角形の公式で、辺の長さをベクトルの絶対値を使って表したものが K の等式(図の一番下の赤枠の等式)です。

ここまでの内容は、三角比で学習する三角形の面積の表し方について、線分の長さをベクトルの大きさに置き換えたものです。ここから、ヘロンの公式を証明します。

ヘロンの公式 : 証明

∠ AOB = θ は三角形 OAB の内角なので、0° から 180° の大きさです。この角度の範囲では、sin θ の値は、正の値となります。
 
sin2θ + cos2θ = 1 より

移項すると、sin2θ = 1 – cos2θ

0° < θ < 180° だから、
sin θ > 0 となり、sin θ をルートで表したときの符号に、マイナスは出てきません。

ヘロンの公式-証明-proof-1

同じ角について、サインの二乗とコサインの二乗の和が 1 となるという三角比の公式を使いました。

角度の範囲のおかげで、プラスのときとマイナスのときで場合分けをすることなく、サインをコサインを用いて表すことができました。

さらに、cos θ は、ベクトルの内積と関連するので、三角形の面積 K をコサインの方で表して、式の変形を進めています。

ベクトルに絶対値がついている部分は、辺 OA と辺 OB の長さなので、正の実数です。したがって、二乗をしてルートの中に入れることができます。

このようにして、上の図の黄色の矢印の下の等式を導いています。
 
ここで、三角比で余弦定理を次のように書き換え、K の式の変形を進めます。

c2 = a2 + b2 – 2ab cos θ を移項して、コサインについて解くと、
cos θ = (a2+b2-c2)÷2ab となります。

a と b という辺の長さをベクトルに絶対値をつけて表します。c はベクトルを使わずに、実数 c のまま使います。

すると、先ほどの三角形の面積を表していたルートの中を書き換えることができます。

この書き換えによって、三角形の面積 K を表していた式のルートの中が、
「二乗マイナス二乗」の形になります。

そのため、上の図のように因数分解ができます。最後にルートの中を、ベクトルを使わない線分の長さに戻しました。

※ 実は、ここまでの書き換えは、ベクトルにしなくても、線分の長さを文字で表して、三角比で学習をした内容を使えば導けます。

しかし、ベクトルの絶対値を使った形の式の書き換えに慣れるために敢えてベクトルの形で証明をしてきました。

大学受験でのベクトルの計算力を鍛えるためにも、敢えてベクトルを用いた証明に慣れおくと良いかと思います。

また、そうしておくと、ヘロンの公式を導いた後で、ベクトルの内積と三角形の面積を絡ませやすいです。

それでは、ヘロンの公式を完成させます。はじめにあった面積を表す式のルートの部分をここまで書き換えたので、一つにまとめます。

ヘロンの公式-証明-proof-2

ルートは二乗すると中身になることを利用して、ルートどおしの積の形に分解しました。
 
s = (a + b +c)/2 より、それぞれのルートの中を書き換えることができます。


(b+c-a)/2 = s -a,
(a+c-b)/2 = s -b,
(a+b-c)/2 = s - c,


よって、
K = (s)1/2(s-a)1/2(s-b)1/2(s-c)1/2
= {s(s-a)(s-b)(s-c)}1/2

これで、ヘロンの公式の証明が完成しました。

ベクトルの内積と三角形の面積

ヘロンの公式を証明した途中で出てきた式から、他の三角形の面積を表す公式が導けます。

1/2 × OA × OB × sin θ という三角比で学習する面積公式です。

同じ三角形の面積を表す式なので、ヘロンの公式との使い分けについての使い分けの判断が必要になります。それについて、述べておきます。

【二つの面積公式】

ヘロンの公式は、三角形の三辺の長さがそれぞれ分かっているときに使います。
※ 辺の長さにルートや分数が使われていると、値は同じでも、見た目が異なるように思える複雑な式になってしまうことがあります。

ヘロンの公式が、うまく使えない状況のときに、ベクトルの内積を使って面積を求めにいきます。着目している角に向かい合っている辺の長さを使わないで済むのが良いところです。

ただし、始点をそろえている二つのベクトルの内積の値が分かっていないと使えないので、何らかの形で内積の値が求められるときに使うチャンスです。

このブログで、三角形の面積を求める公式を二つ述べました。ヘロンの公式と、三角比の公式(ベクトルの内積を使う公式)です。

どちらの公式も、証明をするときに、ベクトルの成分を用いていないことが大きいです。成分に依存することなく証明ができた公式なので、平面ベクトルでも空間ベクトルでも使えます。

どうして三角形の面積を算数で学習した通りの公式以外で考えているのかというと、空間座標(空間図形)で三角形の高さを求めるのが大変ということが 1 つの理由です。

三角比やベクトルを用いた等式の証明の練習をしつつ、三角形の面積を求めるバリエーションを増やしておくと良いかと思います。

三角比の基礎的な内容についての記事として次の記事を投稿しています。

三平方の定理という記事では、具体的な三角形を使って、余弦定理の使い方を解説しています。

また、正弦定理についても解説しています。

また、ベクトルについて、重心-ベクトルという記事で重心の位置ベクトル表示について説明しています。

これで、今回のブログ記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。