外接円 | どこに円の中心があるのかを論理で決定する【垂直二等分線に注目】

三角形の " 外接円 “の中心が、どこにあるのかということを論理的に考えます。

中学の数学で学習する図形の内容を、高校の数学の論理を用いて、より強固に構築することは大切になります。

既に知っている図形を内容を通じて、数学の論理を使う練習にもなるので、三角形の外接円を押さえておくと良いかと思います。

平面図形のイメージを参考にしつつ、内容を論理で詰めます。

外接円 :三角形に外接するとは

三角形ABC に円が外接するとは、頂点 A, B, C が、どれも円の周上にあるということです。

外接する円の中心を O とすると、OA, OB, OC は、どれも外接円の半径なので等しい長さになっています。

この図形的な内容を足掛かりにして、外接円の中心(外心)O が、どこにあるのかということを考えます。

まず、三角形の外接円が存在したとして、その外接円の中心の位置を導き出します。

これは、三角形の外接円が存在するための必要条件ということになります。

その後で、逆についても示し、必要十分条件となっていることを証明します。

図形の単元の内容は、図形のイメージと合わせて論理を使うことが大切になります。

円 O が三角形ABC に外接しているという状況の図を手掛かりにして、外接円の中心が、どこにあるのかということを考えます。

外接円が存在したとすると

【命題1】

点 O を中心とする円が、三角形ABC に外接しているとする。

このとき、点 O は線分 AB の垂直二等分線と線分 AC の垂直二等分線の交点となっている。


<証明>

手軽に状況を図示して、論理的に確実に決定できることをまとめます。

線分 OA, OB, OC は、どれも円 O の半径なので、長さが等しくなっています。

すなわち、
OA = OB = OC です。

ここで、点 O は二点 A, B から等しい距離にあるため、中学の数学で学習した内容から、線分 AB の垂直二等分線上にあるということが分かります。

同様に、点 O は二点 A, C から等しい距離にあるので、線分 AC の垂直二等分線上にあるということになります。

よって、点 O は線分 AB の垂直二等分線上にあり、かつ、線分 AC の垂直二等分線上にあるということから、二つの垂直二等分線の交点が点 O です。【証明完了】

同一の平面上にある異なる二直線の共有点は、ただ一つの交点のみということが決め手になりました。

これで、「円 O が三角形ABC に外接しているならば、点 O は AB の垂直二等分線と AC の垂直二等分線の交点である」ということが証明できました。

※ 同様の証明で、中心 O が AB の垂直二等分線と BC の垂直二等分線の交点であるということも示せます。

必要条件が求まったので、次に逆も成立することを証明します。

高校の平面図形では、中学の数学の図形の内容よりも詳しく論理を扱うので、しっかりと理解をすると強力な下支えになってくれます。

外接円 :逆も真であることを証明

【命題2】

三角形ABC について、AB の垂直二等分線と AC の垂直二等分線は 1 点で交わる。

そして、この交点は三角形 ABC の外接円の中心である。


<証明>

∠BAC は三角形の内角なので、
角の大きさについて、
0° < ∠BAC < 180° となっています。

そのため、AB の垂直二等分線と AC の垂直二等分線は平行でないため、1 点で交わります。

その交点を O と置くと、
垂直二等分線の性質から、
OA = OB かつ OA = OC です。

そのため、3 点 A, B, C は、点 O から等しい距離にあるため、点 O を中心とする円の周上の点です。

よって、円が三角形に外接することの定義から、この点 O を中心とする円は三角形ABC の外接円です。【証明完了】

これで十分性も確認できたので、【命題1】と【命題2】を一つにまとめます。

必要であり十分である

【定理】

三角形ABC が与えられたとする。

点 O を中心とする円が、三角形ABC に外接していることの必要十分条件は、点 O が AB の垂直二等分線と AC の垂直二等分線の交点ということである。


これで、三角形ABC の外接円の中心 O が、どこにあるのかということが決定できました。

この【定理】を証明するときに、垂直二等分線についての性質を使いました。

中学一年の数学で学習する垂直二等分線の性質は、しばしば使うので、記しておきます。

【垂直二等分線の性質】

線分 AB の垂直二等分線上にある点 P は、二点 A と B からの距離が等しい。

つまり、PA = PB である。

この内容の証明は、中学二年の数学の合同の単元で学習します。

高校の数学でも使う内容なので、図を用いて、この内容を振り返っておきます。

二つの三角形が合同であることの証明は、高校の数学でも使うときには使います。

合同な図形の対応する辺の長さ

線分 AB の両端点 A と B からの距離が等しいことの理由は、三角形の合同を利用して示すことができます。

△PAH ≡ △PBH で、
合同な図形の対応する辺の長さが等しいことから、PA = PB と分かります。

それでは、二つの三角形が合同であることの証明を述べておきます。

三角形の合同証明

△PAH と △PBH について、
点 H は線分 AB の中点なので、
AH = BH …①

また、共通の辺より、
PH = PH …②

垂直二等分線と AB が点 H において直交しているため、
∠PHA = ∠PHB = 90° …③

①、②、③より、二辺とその間の角がそれぞれ等しいから、
△PAH ≡ △PBH です。

このように、中学の一年と二年で学習した図形についての性質と、高校の数学の論理を合わせることで、三角形の外接円の中心が、どこにあるのかということが決定できました。

三角形の外接円について、基礎となる図形的な内容を述べてきました。この平面図形が、他の単元とつながるので、それらについて関連内容を記しておきます。

外接円 :関連する単元内容

三角形の外接円の内容は、数学I の図形と計量の単元で三角比についての重要な定理に関わります。

正弦定理というタイトルの記事で、sin を用いて、三角形の辺の長さと外接円の半径の長さを結び付けています。

また、今回の記事で使った垂直二等分線の性質ですが、複素数平面の内容でも出てきます。

アポロニウスの円という記事で、垂直二等分線を複素数を用いて表すということを解説しています。

与えられた三角形の各辺の垂直二等分線が 1 点で交わり、その 1 点が外接円の中心となっているということに関連する内容として、合わせて押さえておきたい高校数学の内容となります。

外心の位置ベクトル表示については、内心-外心という記事で解説をしています。

図形的な情報と、論理と計算を合わせて、議論を進めることが多いので、基礎をしっかりと理解して定着することが大切になります。

垂直二等分線の性質の証明で、三角形の合同を使いました。

数学II の図形と方程式の単元で、垂直な二直線の傾きの積が -1 となることの証明に、三角形の相似が役立ちます。

三角形の合同条件と相似条件は、高校の数学でも中学の数学と同じく使えるときには使うので押さえておきたい内容になります。

また、平行四辺形-定義という中学数学と高校数学の間のような記事で、合同な三角形についての証明を利用する内容について、解説をしています。

それでは、これで今回のタロウ岩井の記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。

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