等差数列は一次関数 | 数列を関数として考えると楽
高校数学で学習する「 等差数列は一次関数 」となっています。
等差数列を一次関数として捉えることで、スムーズに中学数学のやり方で解ける問題もあるので、数列を関数として考える練習をしておくと役立ちます。
中学数学のグラフの内容に落とし込めれば、等差数列の理解がはかどるかと思います。
数列を関数と考えると、次の点で役に立ちます。
・グラフから視覚的に考えられる
・恒等的に数列が等しいことが分かる
自分の経験ですが、数列を関数として考えるようになってから、数学IIIで数列の収束や発散のイメージがしやすくなりました。
また、自然数全体において、二つの数列が恒等的に等しいということも、関数が等しいことの定義通りに考えれば良いので、高校数学を理解しつつ、大学数学への架け橋にもなってくれます。
それでは、一次関数と等差数列を結びつけます。
等差数列は一次関数 :まずは中学数学の内容
y = ax + b という形の関数は一次関数です。グラフで表すと直線になります。
変化の割合(平均変化率)が、どの 2 点で計測しても、いつも一定の値になり、その一定の値のことを直線の傾きといいます。
この傾きは、一次関数の式を見るとすぐに分かります。変数 x の横に書いている a が、直線の傾きとなります。
さらに、一次関数について、x に 0 を代入すると、y = b となることから、点 (0, b) を通る直線のグラフということになります。
この特徴的な点の y 座標の値 b のことを切片(せっぺん)といいます。
高校数学II では、さらに細かく y 切片ともいいます。縦軸である y 軸との交点なだけに、y 切片です。
等差数列が一次関数であることを確認するために、等差数列についての基本的な内容を説明します。
その後で、数列の和とスカラー倍(実数倍)について説明をします。
等差数列と関連づけ
第①項の値が 3、第②項の値が 5、第③項の値が 7 となっている等差数列を考えます。
この数列の第①項の値のことを初項 3 といいます。また、隣り合う項の値の差が一定値になっています。
この一定の値となっている差のことを交差といいます。交差が 2 となっています。
第③項の値だと、交差である 2 が初項に (3 - 1) 個だけ加えられるため、7 となっています。
このため、
3 + 2 × (3 – 1) = 7 となる理由です。
より一般的に、第 n 項の値だと、初項 3 に、交差 2 が (n - 2) 個だけ加えられるため、
3 + 2 × (n - 1) = 2n + 1 となります。
さらに、重要な考え方で、数学III で学習する内容ですが、数列を関数と見なすという考え方を紹介します。
結論から言うと、等差数列は、公立の中学で学習する一次関数となります。
第 n 項の値が、2n + 1 となるということは、n という自然数に対して、2n + 1 という実数を対応させているということになります。
このように、関数(写像)の一対一対応によって定められているのが数列です。
第 n 項の値を an 表すことにすると、
an = 2n + 1 です。
この an という表記のために、関数ということが見えにくくなることがあります。
そこで、f(n) = 2n + 1 と表すと、確かに自然数 n に対して、実数である 2n + 1 を対応させている関数ということが分かります。
中学数学で学習した通り、傾きが 2 で、切片が 1 の一次関数の式です。
先ほどの表の第①項から第③項までの値は、n に具体的な自然数である 1, 2, 3 を代入することで、計算できます。
f(1) = 2 × 1 + 1 = 3,
f(2) = 2 × 2 + 1 = 5,
f(3) = 2 × 3 + 1 = 7
第①項から第③までの値とそれぞれ一致しています。
それでは、等差数列についての代表的な問題を、実際に一次関数の発想で解いてみます。
等差数列は一次関数 :一次関数の発想で問題を解く
【練習問題】
次の等差数列の初項と交差を求めてください。
第 11 項の値が 26 で、第 34 項の値が 72 となっています。
<解答と解説>
問題文に等差数列と数列のタイプが限定されています。等差数列ということが判明していれば、一次関数の発想が使えます。
すなわち、2 点 (11, 26) と (34, 72) を通る直線の式を求めれば良いということになります。
傾きである変化の割合は、
(72 – 26) ÷ (34 – 11) を計算すると求められます。
つまり、46 ÷ 23 = 2 より、傾きが 2 と分かりました。等差数列の交差が、一次関数の式にしたときの傾きでしたから、これで、交差 2 と求まりました。
あとは、初項を求めるために、切片の値を先に確定させて、一次関数の式を求めます。
その式に n = 1 を代入すれば、第①項の値である初項が求まります。
f(n) = 2n + b とおき、(11, 26) を通る直線であることを利用します。
関数の対応から、n = 11 に対応するのが、
f(11) = 26 です。
よって、2 × 11 + b = 26 より、 b = 4 と分かります。
これで、一次関数の式が、
f(n) = 2n + 4 ということが確定しました。
最後に、初項、
つまり、n = 1 に対応する値 f(1) を計算します。
f(1) = 2 × 1 + 4 = 6 より、初項 6 と分かりました。
答えは、初項 6, 交差 2 となります。
数列のグラフは離散的
数列のグラフは、定義域が自然数なので、離散的なグラフとなります。
中学数学のように、定義域(変域)に含まれていない部分を点線で表し、実際に存在している部分を黒丸の点で表すと、上の図のようになります。
よって、点 (1, 7) の次は、点 (2, 9) というように、連続していないグラフとなります。
一次関数を中学数学で学習するときには、定義域を実数全体としていたので、実線でつながっていましたが、定義域を自然数全体に制限しているので、点が平面上に散在している形になっています。
等差数列の取りかかりやすいところは、既に学習している一次関数の実線をイメージしておき、その直線の上の点で x 座標が自然数となっている点だけを意識できることです。
一次関数の直線を足掛かりにして議論を進めていけるので、迷ったらグラフを描いてみるのも良いかと思います。
ここまで、等差数列について説明をしてきましたが、さらに、より一般的な数列について、解説をしていきます。
恒等式の内容と関連して、二つの数列という関数が等しいということが、文系数学でも出題されるので、ここを意識しておきます。
問題集の解説などに、よく書かれる「恒等的に等しい(恒等式)」には注意が必要です。これは、関数として等しいということを意味する内容になります。
等差数列は一次関数 :数列の正体は関数
an = 4n + 3, bn = 4n + p + 1 (p は定数)とします。
このとき、an = bn (n = 1, 2, 3, … ) とはどういうことかを考えます。
数列を表すときに、右下に小さな n などと添え字を使った書き方がよくされます。
添え字の登場で、数列が関数であるということが忘れられがちになるかもしれないので、関数を意識した形で数列を表すことにします。
f(n) = 4n + 3, g(n) = 4n + p + 1 とします。ただし、p は定数とします。
ここで、変数と定数のちがいを説明しておきます。
変数 n は、定義域である自然数全体に含まれている要素です。
定義域に含まれているそれぞれの自然数に応じて、対応する値が定められています。
* 定義域-値域の対応を基礎に考えます。
数列 f(n) という関数だと、1 という自然数に対して、対応している値は、f(1) です。
4 × 1 + 3 より、f(1)=7 です。変数というくらいで、n には、それぞれの自然数が割り当てられます。
2 という自然数には、f(2) = 4 × 2 + 3 = 11 が対応しています。定義域に含まれている各自然数の分だけ n は変化します。
一方、定義域に含まれている値である自然数とは無関係で、ずっと一定の値のままなものが定数です。
この具体例だと、p が定数です。したがって、自然数 n がどんな自然数でも、p は一定の値のままです。
【関数の和とスカラー倍】
an = f(n) = 4n + 3,
bn = g(n) = 2n + 1 について、和と実数 5 によるスカラー倍の具体例です。
・数列の和
f(n) + g(n) = (4n + 3) + (2n + 1)
= 6n + 4
・スカラー倍
5f(n) = 5(4n + 3) = 20n + 15
ここから、大切な定義について述べます。
二つの関数が等しいことの定義
二つの数列が等しいということを理解するために、二つの関数が等しいという、より一般的な定義を述べておきます。
※ 今は数学IIIの範囲ですが、以前は数学Iの教科書では、はじめの方に書かれていたようです。二次関数の学習よりも基本に位置します。
f と g が、定義域 A から集合 S への関数とします。関数なので、A のそれぞれの要素に対して、S の値をただ一つだけ一対一に対応させています。
この対応具合について、二つの関数 f と g が等しいということが定義されています。
A のそれぞれの要素 a に対して、
必ず f(a) = g(a) となっているときに、二つの関数 f と g が等しいと定義されています。
抽象的な内容になってきたので、具体的に例を使って説明します。
A = {1, 2, 3}, S = {5, 6, 7, 8} とします。
そして、f(1) = 5, f(2) = 6, f(3) = 7 という関数とします。
この f は、定義域を集合 A とする S への関数です。A のどの要素に対しても、S の要素が対応されています。
また、集合 A から集合 S への関数 f と g が、関数として等しいということは、g の A の要素に対する対応具合が、f のそれと同じということです。
したがって、g(1) の値は f(1)、g(2) の値は f(2)、g(3) の値は f(3) とそれぞれ等しくなっています。
f(1) の値が 5 でしたから、g(1) = 5 です。
他の A の要素についても、
g(2) = 6, g(3) = 7 となっています。
これくらいのシンプルな具体例を通じて、二つの関数が等しいということを理解しておくと、応用ができます。
※ 大学数学では、関数のかわりに写像(しゃぞう)という用語を使うときもあります。代数系や幾何系でよく使われます。
数列で関数のノウハウは必要
【練習問題】
an = 4n + 3,
bn = 4n + p + 1 (p は定数)とします。
an = bn (n = 1, 2, 3, … ) となっているときに、定数 p の値を求めてください。
それでは、f(n) = 4n + 3 と g(n) = 4n + p + 1 という二つの数列という関数が等しいということの定義を利用して、定数 p の値を決定します。
定義域である自然数全体に含まれているそれぞれの自然数 n について、f(n) = g(n) が成立するということが二つの数列が等しいということです。
どの自然数についても等しいということは、特に、自然数 1 について、f(1) = g(1) となっています。
このことを、n に 1 を代入した式で表すと次のようになります。
f(1) = g(1) より、
4 × 1 +3 = 4 × 1 + p + 1
よって、7 = 5 + p となっています。この方程式を p について解くと、p = 2 となり、定数 p の値が確定しました。
このように、数列の受験問題で頻出の二つの数列が等しいという概念の根本にあるのが、二つの関数が等しいという定義です。
この仕組みを押さえておくだけで、応用ができるので、大学受験の数学の得点UPが期待できます。
また、大学数学や専門学校の数学でも、二つの関数が等しいということが、よく出てきます。
二つの数列が等しいことについての練習問題
数列 f(n) = 4n + 2 と
数列 g(n) = pn + p (ただし p は定数)が与えられたとします。
このとき、数列(関数)f と g は、恒等的に等しくないことを示してください。
背理法の論法を使います。
もし、数列(関数)f と g が定義域である自然数全体において恒等的に等しいと仮定すると、矛盾が生じます。
n = 1 について、f = g という仮定から、
f(1) = g(1) です。
よって、4 × 1 + 2 = p × 1 + p となります。
これは、6 = 2p ということなので、
p = 3 が導かれます。
一方、f と g が定義域である自然数全体において恒等的に等しいという仮定から、2 という自然数について、f(2) = g(2) となります。
これより、4 × 2 + 2 = p × 2 + p となります。
10 = 3p より、p = 10/3 という分数になります。
しかし、p = 3 だったので、p = 10/3 でもあるということは、p が一定の数である定数であるということに矛盾します。
以上より、背理法から、数列 f と数列 g は、関数として自然数全体において恒等的に等しくないということが結論づけられます。
数列は関数なので、関数についての基本的なノウハウを押さえておく必要があります。ノウハウを利用して議論を進めていくための論理も大切です。
今、背理法を用いて、二つの関数が等しくないということを示したように、論理の基礎も大切になります。
恒等式というブログ記事で、恒等的に関数が等しいことについて解説をします。
高校数学で、数列でつまづく原因の一つとして挙げられるのが、恒等的に二つの関数(数列)が等しいということです。
関数の定義域に注意しつつ、二つの関数が等しいということを考えることが大切になります。恒等的に数列が等しいというときに、定義域が自然数全体です。
定義域が実数全体で関数が等しいというように、定義域をどこで考えているのかということが効いてくることもあるので注意です。
定点を通る直線の内容は、良い練習になるかと思います。
数列単元で、時折、必要になる関数の発想について述べてきました。
シグマ記号の使い方も、数列の学習に必要になるので、リンクを置いておきます。
また、今回扱った等差数列ですが、調和数列の定義に使われます。
また、大学の数学で実数列を関数(写像)として抽象的なベクトル空間を考えるときがあります。
実数列という記事で、実数列全体が無限次元のベクトル空間であるということを解説しています。
それでは、これで今回の記事を終了します。
読んで頂き、ありがとうございました。