じゃんけん 確率 | 相子になる状況を4人のときに見切る【反対を狙え】

「" じゃんけん “で" 確率 “」を考える問題は、高校数学で難度の高い内容になります。

相子(あいこ)とは、勝負に決着のつかない状態のことで、じゃんけんでは引き分けです。

この相子になる確率を計算するには、論理的な考察を使います。

じゃんけんを n 人で行ったときに、相子になる確率を求めたいのですが、具体的な例を使って様子を見て、一般的な n で証明するための足掛かりを得るようにします。

最初に n = 3 で様子を見ますが、少なさ故に油断して本質が見えないかもしれません。

そこで、敢えて n = 4 というハードルを上げた状態にもチャレンジし、具体的に何が起きているのかを考察してみます。

じゃんけん :具体より本質を探す

【n = 3 のとき】

x, y, z の 3 人でじゃんけんをしたとき、相子になる確率を求める。


じゃんけんをしたときに、相子になるのは、次に大別されます。

● 全員が同じ手を出す
● 3 種類の手が出る

3 人でじゃんけんをしたときに、3 人の手の出し方は、全部で 33 通りあります。

手の出し方を「グ」、「チ」、「パ」で表すことにします。

全員が同じ手で相子になる場合は、全員がグ、全員がチ、全員がパの 3 通りです。

3 種類の手が出る場合の総数を数えてみます。

グ、チ、パの異なる 3 つの手を、x, y, z に配置すれば良いので、3! 通りです。

これで、和の法則から相子になる場合の総数が求まりました。

3 + 3! = 9(通り)です。

そのため、相子となる確率は、
9 ÷ 33 = 1/3 です。

n = 3 のときは、意外にあっさり片づきました。

しかし、「3 種類の手が出る場合」を求めるときに、3 人だとダブルことなく 3 人とも違う手ということで順列の計算が容易でした。

n = 4 のときに、この内容が複雑になることを油断せずに確認してみます。

n = 4 で様子を見ると、より深い考察が必要ということが分かります。

4人だと壁ができる


3 種類の手が出る場合に関して、二人が「グ」でダブル状況をまとめました。

まだ、4 人だと計算を進めることができます。

3 種類の手が出ることに関して、二人が「チ」の場合と、二人が「パ」のときも同じ考え方なので、3 倍することで場合の数が計算できます。

(4C2×2!)×3(通り)が、4 人でじゃんけんをしたときに、3 種類の手が出る場合の数となります。

全員が同じ手となるのは 3 通りなので、
(4C2×2!)×3+3(通り)が相子となる場合の総数です。

これを 34 で割ると、
n = 4 のときに、相子となる確率です。

これで、n の値が大きくなると越えなければならない壁が現れることが分かりました。

3 種類の手が出る場合に、複数の人が同じ手を出すという状況が発生します。

例えば、n = 100 だと、どの手について、誰が同じ手を出すのかということを直接に数えることが困難になります。

そこで、n が大きくなっても、一撃で数え上げる方法を要求したいところです。

もう一度、n = 4 のときを振り返って、良い手を探します。

じゃんけん 確率 :余事象で反対の場合を狙う

【問題】
4 人でじゃんけんをしたとき、相子になる確率を求める。


定量的に正確な考察が大切になります。

4 人でじゃんけんをしたときに、手の出し方の総数は 34 通りです。

これら 34 の場合をすべて集めると全事象(全体集合)です。

この中で、相子になるという条件を満たす事象の余事象の方を数えます。

余事象は、集合の単元の用語では補集合です。

補集合に含まれる要素の個数を求めて、全体の 34 から引けば、相子になるという条件を満たす場合の総数となります。

相子でないということは、じゃんけんの決着がつくということです。

「グとチ」、「チとパ」、「パとグ」の三つの状態のうちのいずれかになるということです。

どれも同じ考察になるので、「グとチ」で勝負がつくときの場合の総数を求めから、3 倍します。

4 人がグかチしか手を出さない状態です。

すると、24 通りの可能性があります。

ただし、全員がグ、もしくは全員がチの状況だと相子になってしまうため、これら 2 通りを除きます。

ゆえに、24-2 通りが、「グとチ」で勝負がつくときの場合の総数です。

そのため、「グとチ」、「チとパ」、「パとグ」の三つの状態のうちのいずれかになるという場合の総数は、この 3 倍です。

3・(24-2) 通りが、相子にならない場合の総数です。

よって、
相子になる場合の総数は、
34-3・(24-2) 通りとなります。

これを 34 で割れば求める確率となります。

テストだと、分子と分母を計算して、これ以上は約分ができない状態に整えて答案を提出するわけですが、考え方に力点を置いているので、ここまでで止めておきます。

これで、n が 4 以上になったときに現れる壁を破る方法が分かりました。

今の考察をよく見ると、n が 3 以上のときに、4 を n にして、そのまま同じ議論を踏襲することができます。

一般の n について、ハイライトとして、この流れをまとめておきます。

エンディング(一般のnで)

【一般化】

n 人でじゃんけんをしたとき、相子になる確率を求める。


n 人の手の出し方は 3n 通りです。

2n-2 通りが、「グとチ」で勝負がつくときの場合の総数です。
※ 全員がグ、もしくは全員がチの状況だと相子になってしまうため、これら 2 通りを除きました。

「グとチ」、「チとパ」、「パとグ」の三つの状態のうちのいずれかになるという場合の総数は、この 3 倍です。

そのため、
3・(2n-2) 通りが、相子にならない場合の総数です。

余事象を考えたので、相子になる場合の総数は全体の 3n 通りから引くと求まります。

ゆえに、
3n-3・(2n-2) 通りが、相子になる場合の総数です。

これを 3n で割ると求める確率となります。

{3n-3・(2n-2)}÷3n を、もうこれ以上は約分ができない状態にして答えとします。

3n-3・(2n-2) の n に 3 を代入すると、はじめに求めた 3 人のときに相子となる場合の総数と一致します。

実際、
33-3・(23-2)
= 27-3・(8-2)
= 27-18 = 9(通り)です。

確かに、
3 人のときに相子になる確率が 1/3 となっています。

これで、じゃんけんに関する今回の記事を終了します。

他にも場合の数・確率についての基礎となる内容のブログを投稿しています。

個数定理(要素の個数)
最短経路(同じものを含む順列)
同様に確からしい(区別するか区別しないか)

論理と集合を基礎として、考える礎にすることが大切になる単元になります。

同じものを区別するのか区別しないのかということには注意して、場合の数と確率の単元を学習すると役に立つ数え上げる公式が得られます。

じっくりと、場合の数・確率を導き出す過程を正確に理解することが重要になるかと思います。

これで、今回の記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。

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