二重根号の外し方:二乗してルートをつけると絶対値ということを利用!

二重根号の外し方-表紙

" 二重根号の外し方 “について解説します。

また二重根号を外す公式の証明も述べています。

ルートの中にルートがある状態から、式を簡単にするわけです。

その方法の根本は、「実数の二乗にルートをつけると絶対値」ということです。

つまり、
実数 a2 にルートをつけると、
|a| になるということを利用するわけです。

※ 数学Iで学習するルートをつけるということは、
数学II以降では1/2乗という有理数乗の見方もできます。

まずは、具体的な数を使って、二重根号を外してみます。

その後で、文字を使って一般化するようにします。

二重根号の外し方 :ルートは1/2乗

この記事の表紙の画像では、ルートの中にルートがあります。

二重にルートがあることから、二重根号というわけです。

この記事では、ルートをつけるというを1/2乗をするという見方をします。

そうすると、指数法則が使えます。

本格的に、数学IIで、指数が有理数のタイプを学習するのですが、いきなり有理数を学習すると混乱するかと思います。

そこで、高校一年の計算公式が使えるようになってきたら、1/2乗をきっかけに、有理数についての指数法則を使うと良いかと思います。

二重根号の具体例

【例題1】

10+2×21\sqrt{10+2\times \sqrt{21}} の二重根号を外してください。

※ 数IIで習う1/2乗を使うと、
(10 + 2 × 211/2)1/2 という式になっています。


これが表紙の画像に記していた二重根号の式です。

(xa)b = xab という指数法則が使えます。

ルートの中に登場している数字を変形します。

ルートを二乗すると、中身になります。

7=(7)27=(\sqrt{7}\,)^2 というようになります。

(712 )2=712×2=71=7(\,7^{\frac{1}{2}}\ )^2=7^{\frac{1}{2}\times 2}=7^1=7 が数IIで習う有理数乗の指数法則です。

ここから式変形のコツを説明します。

二乗にルートをつけると絶対値

【例題1】では、(10 + 2 × 21\sqrt{21} ) を xa の形に変形したいところです。

ここで、10 と 21 という数字に注目します。

足して 10, 掛けて 21 となる数字のセットを考えます。

10 = 7 + 3,
21 = 7 × 3 です。

問題によっては、複数の候補が出てくるときがあります。

しかし、目指すのは xa という形にすることなので、そうならない数字のセットは無視します。

【例題1】では、7 と 3 で目指す形になります。

10 + 2×212\times\sqrt{21}
= (7 + 3) + 2×7×32\times\sqrt{7\times 3}
= 7 + 2×7×32\times\sqrt{7}\times\sqrt{3} +3
= (7)2+2×7×3+(3)2(\,\sqrt{7}\,)^2+2\times\sqrt{7}\times\sqrt{3}+(\,\sqrt{3}\,)^2
= (7+3)2(\,\sqrt{7}+\sqrt{3}\,)^2

これで二重根号の中が二乗の形になりました。

実数の二乗にルートをつけると絶対値ということが使えます。

10+2×21\sqrt{10+2\times \sqrt{21}}

=(7+3)2=|7+3|=\sqrt{(\,\sqrt{7}+\sqrt{3}\,)^2}=|\,\sqrt{7}+\sqrt{3}\,|

絶対値の中身は正の数なので、そのまま絶対値が外れます。

そのため、

𝟕+𝟑\bold{\sqrt{7}+\sqrt{3}}答えです。

一応、数IIも見据えて有理数乗の計算も述べておきます。

数IIの指数法則を使った変形

和 10 で、積 21 ということで、
7 + 3 と 7 × 3 と当たりをつけました。

(st)a = sata の指数法則を使うチャンスです。

211/2 = (7 × 3)1/2
= 71/2 × 31/2 となります。

さらに指数法則で、
(71/2)2 = 71/2×2 = 71,
(31/2)2 = 31/2×2 = 31

71 や 31 は、7 と 3 なので、
10 = 7 + 3
= (71/2)2 + (31/2)2

では、赤色で書き換えた内容を一つにまとめます。
10 + 2 × 211/2 =
(71/2)2 + (31/2)2+2×71/2 × 31/2

加法の順番を入れ替えると、
10 + 2 × 211/2 =
(71/2)2+2×71/2 × 31/2+(31/2)2
= (71/2 + 31/2)2

二乗の因数分解公式が使える形になっていました。

これで、目指していた括弧の中を xa という形にすることが達成できました。

(10 + 2 × 211/2)1/2
= {(71/2 + 31/2)2}1/2
= (71/2 + 31/2)2×1/2
= (71/2 + 31/2)1
= 71/2 + 31/2 となり、二重根号が外れました。

高校一年の計算だと、1/2乗をルートをつけた形にして答案とします。

ただ、数学II や、理系だと数学IIIで、このようなルートの計算を頻繁に行います。

1/2乗についての計算に、少しづつ慣れていくことで、高校二年や高校三年になったときに、有理数乗の計算を使いこなせるようになってくるかと思います。

ただ、高校に入学した段階だと、この指数計算は厳しいものがあるかと思います。

焦らず徐々に計算レベルを引き上げるものと思っておくと良いかと思います。

上で述べた内容を、文字を用いて一般化します。

二重根号の外し方 :公式の証明

二重根号の外し方-公式

a ≧ 0, b ≧ 0 という条件は、二重根号を外したときに、ルートの中が負の実数だと虚数になることを除いています。

※ 虚数(複素数)は数学IIで学習します。

a - b ≧ 0 の条件よって、
【公式2】の方で二重根号を外したときに、絶対値をそのまま外せるようになります。

それでは、【公式1】から証明します。

【公式1】の証明

a+b+2ab\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}

= (a)2+(b)2+2ab\sqrt{(\,\sqrt{a}\,)^2+(\,\sqrt{b}\,)^2+2\sqrt{ab}}

= ( a+b )2\sqrt{(\ \sqrt{a}+\sqrt{b}\ )^2}

= |a+b||\,\sqrt{a}+\sqrt{b}\,|

a ≧ 0, b ≧ 0 なので、
a+b\sqrt{a}+\sqrt{b} ≧ 0 だから、絶対値はそのまま外れます。

【証明完了】

続いて、【公式2】の証明です。

同じく二乗の因数分解を使うのですが、
a ≧ 0, b ≧ 0 だけの条件だと、
a - b の符号が分かりません。

a - b ≧ 0 という条件が効いてきます。

【公式2】の証明

a+b2ab\sqrt{a+b-2\sqrt{ab}}

= (a)2+(b)22ab\sqrt{(\,\sqrt{a}\,)^2+(\,\sqrt{b}\,)^2-2\sqrt{ab}}

= (ab)2\sqrt{(\,\sqrt{a}-\sqrt{b}\,)^2}

= |ab||\,\sqrt{a}-\sqrt{b}\,|

ここで、
a - b ≧ 0 より、a ≧ b ≧ 0 なので、

ab\sqrt{a}\geqq\sqrt{b} となっています。

※ 二次関数 y = x2 のグラフをイメージすると、
y 軸で a ≧ b ≧ 0 のときに、x 軸上の対応する点は、
ab\sqrt{a}\geqq\sqrt{b} となっています。

よって、 |ab|=ab|\,\sqrt{a}-\sqrt{b}\,|=\sqrt{a}-\sqrt{b} だから、

a+b2ab=ab\sqrt{a+b-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b}

【証明完了】

では、証明した公式を使う例題を解いてみます。

2ab2\sqrt{ab} の 2 が、与えられた式に現れていないときは、公式が使える形に変形します。

「1/2 × 2 = 1 で、1 を掛けても値は変化しない」ということを使って変形します。

公式が使える形へ変形

【例題2】

35\sqrt{3-\sqrt{5}} の二重根号を外してください。


これは、いきなり出てくると、気づきにくいかと思います。

ルートに関して使える式の書き換えです。

5 = 4 × 1/4 × 5 だから、
5\sqrt{5} = 1/2 × 2 × 5\sqrt{5} … (1)

さらに、約分すると、
3 = 1/2 × 6 … (2)

(2) - (1) より、
3 - 5\sqrt{5}
= 1/2 × 6 - 1/2 × 2 × 5\sqrt{5}

右辺で 1/2 は共通因数だから、

35=12(625)3-\sqrt{5}=\displaystyle\frac{1}{2}\,(6-2\sqrt{5}\,)

和 6, 積 5 の形で、2 が 5\sqrt{5} に掛けられています。

これらをまとめて、答えを求めます。

35=62523-\sqrt{5}=\displaystyle\frac{\sqrt{6-2\sqrt{5}}}{\sqrt{2}} …★

ここで、
6 = 5 +1,
5 = 5 × 1 なので、
a を 5, b を 1 として【公式2】を適用できます。

625=51=51\sqrt{6-2\sqrt{5}}=\sqrt{5}-\sqrt{1}=\sqrt{5}-1

これを★の右辺の分子に代入すると、

35=5123-\sqrt{5}=\displaystyle\frac{\sqrt{5}-1}{\sqrt{2}} となります。

最後に有理化をします。

512×22=𝟏𝟎𝟐𝟐\displaystyle\frac{\sqrt{5}-1}{\sqrt{2}}\times\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}=\bold{\displaystyle\frac{\sqrt{10}-\sqrt{2}}{2}}【答え】


【関連する記事】

複二次式

分数指数という記事では、指数を出力するコード入力について解説をしています。


これで今回の記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。