四則計算 – ルール | 加減乗除の混じった計算を解説
中学一年の数学で" 四則計算 “が算数から進化します。
算数のときは、身近な事柄に関連させながら意味を考えつつ計算を進めていました。
中学や高校の数学の計算では、数学の計算規則に基づいて計算を正確に進めることが大切になります。
四則の混じった計算を規則に基づいて正確に計算できるように解説をしています。
中学の数学から負の数が使われます。
算数の引き算から、数学の減法へとバージョンを上げる必要が出てくるので、負の数と合わせて減法のきまりを押さえることから解説をしています。
また、項を正しく識別することも重要になります。
その上で計算法則を使いつつ四則の混じった計算ができるように練習をすると良いかと思います。
四則計算 : 引き算から減法へ
数直線は、右の向きが正で、左の向きが負です。
原点 0 を対称に、正の数と負の数が並んでいます。
3 だと、0 よりも右にあり正の数です。
ここで、-1 を掛けると正と負が逆になるということを押さえておきます。
-1×3 = -3 というように正の数から負の数へと符号が逆になります。
負の数に -1 を掛けると正の数になります。
-1×(-5) = 5 です。
まず、正の数と負の数を認識しておくことが大切になります。
減法という計算を定義するにあたって、正の数と負の数の考え方が用いられます。
減法という計算
◆ 5-3 = 5+(-3)
◆ 5-(-3) = 5+3
中学の数学や高校の数学からは、引くと無くなるという感覚から、減法という計算の規則に基づいて計算をするようになります。
減法は、「符号を逆にした数との加法を計算する」という規則に基づいて計算をします。
理科や社会などの他の科目では、引くと無くなるという感覚を使ったりしますが、中学の早い段階から減法の規則に基づいて計算ができるようになっておくと、高校の数学や物理の理解に役立ちます。
5-3 = 5+(-3) というように、正の数 3 から符号を逆にした -3 との加法に直してから計算をします。
5-(-3) = 5+3 だと、負の数との減法になるので、符号を逆にした 3 との加法です。
5-(-3) = 5+3 = 8 と減法を計算すると、5 よりも値が 8 と増えています。
このように、負の数(数直線上で原点から左の向き)の出現によって、引くと無くなるという感覚に合わない計算も出てきます。
中学の数学からは、減法は「符号を逆にした数との加法を計算する」という規則に基づいて計算をします。
実は、高校の数学や物理の1次元ベクトルの減法へつながるのが、数直線上の向きと大きさ(原点からの距離)をもった実数の減法です。
減法を加法に直して計算をするという中学の数学から開始されるルールに早い段階から慣れておくと、括弧のついた計算がしやすくなります。
計算の法則を使う
7-(3-2) = 7-1 = 6,
(7-3)-2 = 4-2 = 2
引き算が使われている計算では、括弧のつけ方によって計算結果が変わることがあります。
そのため、算数では、
7-3-2 というように三つ以上の数が出てくる計算では、左から順に計算をすると決めていたわけです。
この算数のルールを中学の減法のルールへとバージョンアップさせます。
つまり、減法は定義に基づいて、加法に直してから計算をするということです。
7-3-2
= 7+(-3)+(-2)
加法だけの計算に直すと、加法の結合法則によって、どちらから計算をしても同じ結果になります。
{7+(-3)}+(-2)
= 4+(-2) = 2 です。
7+{(-3)+(-2)}
= 7+(-5) = 2 です。
結合法則のおかげで、計算結果が同じ値になってくれます。
割り算についても、分数の割り算で学習したように、逆数との乗法に直すことで乗法についての結合法則が効いてきます。
9÷3÷3 だと、逆数との乗法に直します。
9×1/3×1/3 として計算をします。
(9×1/3)×1/3 = 3×1/3 = 1,
9×(1/3×1/3) = 9×1/9 = 1 と同じ計算結果になります。
これを割り算のまま括弧のつけ方を変えると、ちがった計算結果になったりします。
◆ (9÷3)÷3 = 3÷3 = 1
◆ 9÷(3÷3) = 9÷1 = 9
減法は加法に直してから計算をするということと、除法は乗法に直してから計算をするということは大切な計算の基礎となります。
加法の結合法則、乗法の結合法則を使って、括弧のつけ方に依存しない同じ計算結果になるように日頃から練習をしておくと良いかと思います。
四則計算 :項を正しく把握する
中学2年の計算でも出てきますが、単項式といって乗法だけの固まりを1つの項として数学では考えます。
2×5×6 のような掛け算だけの固まりが1つの項です。
符号がマイナスのものは、-1が掛けられている項とします。
-2 だと、-1×2 と掛け算だけの固まりなので、項です。
項を正しく認識するために、指数を用いた累乗の形にも注意します。
53 は 5×5×5 で、やはり掛け算だけの固まりなので1つの項です。
-53 も -1×5×5×5 と掛け算だけの固まりで項です。
【累乗の注意】
-42 = -1×4×4 = -16,
(-4)2 = (-4)×(-4) = 16
(-4)2 だと、-4 という負の数を2個で掛け算をした値ということです。
そのため、負の数と負の数の積がプラスの値になっています。
指数が関連したときには、プラスとマイナスの符号にも注意する必要があるので、日頃から気にかけておくと良いかと思います。
複数の数があるときこそ項の認識
【例】
8-2×3×5 の値を計算します。
項を正しく認識することが大切になります。
先頭の 8 が1つの項です。
残りですが、
-2×3×5 が掛け算だけの固まりで1つの項です。
項を認識した後、加法でつなぎます。
つまり、
8-2×3×5
= 8+(-2×3×5)
ここまで見切れると、後は掛け算だけの固まりの部分を具体的に計算して1つの数として確定させます。
-2×3×5 = -30 より、
8+(-2×3×5)
= 8+(-30)
= -22 です。
数直線上でプラス 8 の位置から左に 30 進むと原点から左に 22 の位置にきます。
それが、-22 という最終の計算結果です。
四則の混じった計算
まず項を正しく認識することから始めます。
-52 は -1×5×5 で掛け算ばかりの式なので、1つの項です。
-42÷8×3 も、
-4×4×1/8×3 という掛け算ばかりの式なので、1つの項です。
そのため、与えられた式は、大きく二つの項の加法となっていることが分かります。
-52-42÷8×3
= (-52)+(-42÷8×3)
項を認識した後は、それぞれの掛け算ばかりで構成されている項の値を計算して確定させます。
つまり、
-52 = -1×5×5 = -25,
-42÷8×3
= -4×4×1/8×3
= -2×3 = -6 です。
よって、
-52-42÷8×3
= (-52)+(-42÷8×3)
= -25-6 = -31 が最終の計算結果です。
中学の計算では、計算法則を利用した計算が大切になります。
特に分配法則は、よく使います。
そういった計算も練習しておきます。
工夫した計算
【練習問題1】
11×67+11×33 を筆算を使わないで計算してください。
<解答と解説>
11×67 と 11×33 という二つの項の加法を計算する問題です。
よく見ると、それぞれの項に 11 が共通して掛けられています。
そこで、分配法則を使って、与えられた式を書き換えます。
11×67+11×33
= 11×(67+33)
= 11×100
100 を掛けると、算数で学習したように、0 を二つ付け加えるだけなので、暗算で計算をすることができます。
11×67+11×33
= 11×100
= 1100 が最終の計算結果です。
もう1つ練習のための問題です。
【練習問題2】
54×3.14+3.14×46 を筆算を使わないで計算してください。
<解答と解説>
乗法についての交換法則を右の項について使います。
3.14×46
= 46×3.14 です。
このため、左の項も右の項も右から共通して 3.14 が掛けられているという状態です。
よって、3.14 を分配法則を使ってくくり出すことができます。
すなわち、
54×3.14+3.14×46
= 54×3.14+46×3.14
= (54+46)×3.14
= 100×3.14
= 314 です。
100 を掛けたので、小数点が右へ 2 つ移動したというわけです。
これで、314 が求める計算結果だと分かりました。
54 の方を交換法則で書き換えても同じ計算結果になります。
54×3.14+3.14×46
= 3.14×54+3.14×46
= 3.14×(54+46)
= 3.14×100
= 314 です。
数学の計算では、途中の過程が異なったとしても、最終の計算結果が同じになるということが起きるときもあります。
この練習問題では大差はありませんが、各計算をするときには計算のやり方によって楽になったり、複雑になってしまうことがあります。
日頃から、円滑に計算を進められるように考えながら計算をする練習をしておくと良いかと思います。
関連する記事として、高校数学の計算についての記事も投稿しています。
三乗和の公式という記事では、高校一年の1学期に学習する展開や因数分解についての基礎的な内容を解説しています。
さらに、平方完成という高校の二次関数を学習するときに必要な計算についても解説をしています。
また、食塩水の濃度という理科の内容を使った中学2年の数学の方程式の内容についての記事も投稿しています。
それでは、これで今回の記事を終了します。
読んで頂き、ありがとうございました。