分数指数 | ルートをつけるコード入力【指数の計算規則と命令文】
" 分数指数 “に関連したルートをつけるためのコード入力について解説をしています。
ルート 2 など、ルートをつける命令文に、少しの変化をつけることで 3 乗根などの記号を出力することができます。
latex(ラテフ)における数式を出力するためのコードの入力と合わせて、指数が分数のときの計算について、具体例を用いつつ説明を進めます。
大学の数学科では、ラテフを用いての数式の出力を学習するときもあるので、計算規則と合わせて、コードの入力に慣れておくと良いかと思います。
なお、x5 = 2 などの解について、2 の 5 乗根などの累乗根は、正の実数として議論を進めることとします。
分数指数 :コード入力
今回の記事で説明する三つの内容です。
まずは、①のルートをつけるための latex の命令文となるコードについてです。
そのコードに少しの内容を付け加えることで、②のような累乗根を出力することができます。
さらに、指数計算についての計算規則と、プログラミングでよく出てくるネスト構造の考え方から、③のような実践的な入力について説明します。
では、①のルートをつけるということについてのコードから説明します。
【ルートをつける】
$\sqrt{□}$ で、□に√(ルート)をつけることができます。
□ が 2 のときは、
$\sqrt{2}$ で、2 にルートがつきます。
ラテフでは、地の文と数式を区別するために、$(ドルマーク)を二つで挟み、その間に出力する数式を指定するコードを入力することになります。
$2$ で、数式としての 2 が出力されます。
その 2 にルートをつけるために、\sqrt{} をつけます。
{と}で囲まれている式全体にルートがつきます。
なお、{と}の部分は、一文字とは限りません。
例えば、213 にルートをつけるときは、
$\sqrt{213}$ と入力します。
次に、このルートをつけるという内容を基本として、累乗根を出力するためのコードについて説明をします。
分数指数が絡むルート
先ほどの②だと、2 の 5 乗根となります。
x5 = 2 の正の実数解となります。
この 5 乗根のときは、
$\sqrt[5]{2}$ とコードを入力します。
$\sqrt{2}$ という 2 にルートをつけるというコードと見比べると少しの付け足しで、累乗根が出力されていることが分かります。
5 乗根を出力したいので、
[5] を \sqrt の後に付け加えています。
2 の 3 乗根を出力したいときだと、
$\sqrt[3]{2}$ となります。
$\sqrt[7]{2}$ だと、2 の 7 乗根が出力されます。
より一般的に、自然数 n について、
2 の n 乗根を出力するには、
$\sqrt[n]{2}$ となります。
これで、n 乗根の出力方法が分かりました。
latex は数式を入力することを目的に作られています。
そのため、数学の計算規則と馴染みます。
より複雑な数式を出力するために、高校の数IIで学習する指数の計算について述べておきます。
計算規則と入力規則の合わせ技で、自在に累乗根を使った数式を操ることができます。
分数指数 :計算規則について
2 の 5 乗根は、分数指数を用いて表すことができます。
21/5 が 2 の 5 乗根です。
分子を 1 とし、分母を 5 とする分数を指数に位置に記すと 5 乗根です。
この分数指数を用いると、指数法則と合わせて、式の変形ができます。
【指数法則】
(xa)b = xab は a や b が分数のときにも使えます。
底 x が同じ正の実数のとき、a や b に分数がきても、この指数法則に基づいて計算を進めることができます。
(23)1/5 = 23×1/5 となります。
指数の部分は掛け算を計算して、これ以上は約分ができない分数として表せます。
そのため、
3×1/5 = 3/5 として、
(23)1/5 = 23/5 と表すことができます。
計算の良いトレーニング
分数指数の計算に慣れるということで、数II の復習になるのが数Iの計算分野で扱われています。
高校に入学した一年の始めの方の計算内容は、数IIの分数計算の良い練習になります。
二重根号の外し方を分数指数を用いて、指数法則に基づいて計算を進めることで、ルートの中にルートがあるという状況に慣れることができます。
二重根号が外せると確信できる根拠が指数法則を適用したときに、指数が整数になることです。
この二重根号から、さらに累乗根の中に累乗根があるという数II以降の数学の内容へとつながります。
高校に入学して一学期くらいのときには、計算の練習ということになりますが、実はプログラミングで頻出の構造と関わってきます。
それが、次に述べるネスト構造です。
様々なプログラミング言語で、学習をし始めた頃にネスト構造が出てきます。
この発想と数学の計算規則で、相乗効果を得て、さらに実践的な入力へと進めます。
分数指数 :ネスト構造
ネスト構造というのは、一つの構造の中に、他の構造が入り込むことです。
入り子構造ともいわれたりします。
他の構造と述べましたが、同一の構造が入り込むこともあります。
高校一年の二重根号は、ルートの構造の中にルートの構造が入り込むというネスト構造の例です。
このネスト構造を、コードで見てみます。
$\sqrt{□}$ だと、□にルートが付くという内容です。
この□の部分に、さらにルートが使われているという状況を考えます。
3+21/2 が□に部分に置かれると、
(3+21/2)1/2 となります。
二重根号をコードで表してみます。
$\sqrt{3+\sqrt{2}}$ となります。
$\sqrt{□}$ というルート出力構造の□の部分に、
3+\sqrt{2} というルート出力の構造が入り込んでいるという状況です。
このネスト構造と指数法則を合わせて、残りの③の内容について説明します。
ルートの中のルートと分数
数学IIの指数計算から説明します。
その後で、その内容を出力するコードについて述べます。
③の内容は、「2 の 3 乗根」の 5 乗根という内容です。
累乗根の命令文の構造の中に、累乗根の命令文の構造が入り込んでいるというネスト構造です。
分数指数を用いると、
(21/3)1/5 となります。
ここで、指数法則を適用します。
(21/3)1/5
= 21/3×1/5
= 21/15 となります。
これは、2 の 15 乗根ということを意味しています。
x15 = 2 の正の実数解ということになります。
分数指数にして指数法則を適用することで、累乗根の中に累乗根があるという状況から、2 の 15 乗根という捉えやすい状況へと書き換えることができました。
では、この高校の数IIの計算内容を出力するコード入力について説明します。
コードの中にコード
「2 の 3 乗根」の 5 乗根という内容を表す累乗根の中の累乗根のコードです。
$\sqrt[5]{\sqrt[3]{2}}$ となります。
\sqrt[5]{□} が□の 5 乗根で、
□の部分に \sqrt[3]{2} ということです。
さらに、指数を出力するコードと合わせて指数の出力コードです。
$x^{△}$ だと x△ が出力されます。
この△が、分数というネスト構造を考えます。
△/□ という分数の出力は、
$\frac{△}{□}$ となります。
そのため、21/3 という底 2 で指数が 1/3 の分数指数の数を出力するコードは、次のようになります。
すなわち、
$x^{\frac{1}{3}}$ です。
$x^{△}$ の△の部分が、
\sqrt{1}{3} ということです。
さらに、ネスト構造を考えます。
(21/3)1/5 を出力するコードです。
$(2^{\sqrt{1}{3}})^{\sqrt{1}{5}}$ となります。
$x^{△}$ の△の部分が、
\sqrt{1}{5} で、
x の部分が、
2^{\sqrt{1}{3}} となっています。
ネスト構造について大枠を把握し、細部に適したコードを入力しました。
最後に、
21/3×1/5 の出力コードです。
掛け算の記号は、\times となります。
$2^{\frac{1}{3}\times \sqrt{1}{5}}$ となります。
$x^{△}$ の△の部分が、
\frac{1}{3}\times \sqrt{1}{5} となっているわけです。
{} の指数の部分が、数学の計算で使う括弧のように、どの部分かを表していると考えると、計算をしている要領で自然とコードが入力できます。
指数の出力、分数の出力、ルートの出力という内容を合わせて、実践的な数式の入力について解説をしました。
関連する記事として tex という記事を投稿しています。
この記事では、ベクトルの矢印を出力するコードや積分のインテグラルを出力するコードについても解説をしています。
この記事では、noteで数式を入力するということで、数式の命令文の部分を表すことを通常のlatexとは若干異なります。
$${・}$$ で数式を表す命令文となっています。
これを $・$ というドルマーク二つで挟むように書き換えると、latex の数式の命令文となります。
先ほどネスト構造を扱いましたが、中学で学習する漢文でもネスト構造が使われています。
返り点という記事で漢文と合わせて行列の出力についても解説をしています。
ここからは、高校の数学の参考に、指数計算について数IIの内容を解説します。
指数計算 :17乗
【指数法則】
a, b を整数(実数)とする。
このとき、
(xa)b = xab, xaxb = xa+b である。
中学一年の数学では a と b は自然数の範囲で考えていました。
高校の数学では、a と b の範囲を整数、有理数、そして実数まで広げて使える法則として、この指数の計算規則を使います。
この a や b が複雑になってくると、抽象的な数学の議論をしているときに、困惑することもあるかと思います。
そこで、具体的だけれども、やや複雑さが見えるくらいに 17乗を用いて計算を実行します。
中学もしくは高校の数学の基礎となる計算内容ですが、大学の代数学の学習をするときにも使える内容となっています。
ちょっと数学科の専門用語を使って述べますが、1 は、実数体 R の乗法単位元です。
1 を n 個で加法を計算した総和が n となっています。
n が 17 だと、1 を 17 個で加法を計算した値が 17 です。
実数全体は、通常の加法と乗法について実数体といわれる四則演算ができる代数的な対象となっています。
実数体(Real Field)は、標数(キャラクター)が 0 となっている可換体で、1 ばかりで何回足し合わせても、それらの和は 0 にはなりません。
1 と 17 は異なる値となっています。
大学の数学では、1 を何個か足し合わせると 0 という加法的単位元になってしまうものも考えまして、そうした議論をしている中で使う内容の具体例として、今回の記事を投稿しました。
もちろん、中学や高校の指数の学習して、ご覧頂ければ良いのですが、大学数学の他の記事との兼ね合いの中で、この記事をご覧頂いた方は、環論や体論の具体的な内容として見て頂ければと思います。
指数計算をする前に、17 という正の整数が素数であることを示しておきます。
17という数字について
大学の数学科で扱う初等整数論で、自然数が素数かどうかを見分ける方法を学習します。
その素数判定法を、少しカスタムして、ルートとガウス記号を使わずに計算で求める方法を以前に投稿しました。
ルートとガウス記号を使わないので、その分は遠回りになるのですが、中学一年の計算だけで素数判定ができるので、3桁くらいなら気軽に素数の判定ができます。
17 < 52 で、5 以下のどの素数も 17 を割り切ることができないので、17 は素数となります。
初等整数論の素数判定法を、九九の計算をベースに二乗を使って判定する「遠回りだけれども計算が簡単」な方法です。
よく知られた素数の判定方法を使うと、
17 のルートにガウス記号をつけた値が 4 で、4 以下のどの素数も 17 を割り切ることができないため、17 は素数と判断されます。
いずれにせよ、17 は素数です。
※ 17 にルートをつけるということは、1/2乗をするという有理数乗の内容になります。
エラトステネスのふるいの通りに考えると、2 以上 16 以下のどの自然数でも 17 を割り切ることができないため、17 は素数ということになります。
いずれにせよ、17 という二桁の自然数は素数です。
では、ここから、素数 17 を指数の位置において、指数の計算について解説をします。
代入ということを意識して、見た目が複雑だけれども法則を着実に適用することが大切になります。
17についての加法と乗法
【累乗(べき乗)計算】
x17 の x に、
x17 を代入した値を計算する。
f(x) = x17 という実数係数の次数 17 の多項式を考えます。
x に x17 を代入します。
すると、
f(x17) = (x17)17 となります。
(□)17 とは、17 個の□で乗法を計算した値のことです。
今、□は x17 ですから、
f(x17) = (x17)17 とは
17 個の x17 で乗法を計算した値のことです。
この計算をするときの指数の部分が、どのような計算過程なのかを丁寧にスローで見てみます。
はじめに 17 個の x17 で乗法を計算しました。
ここで、指数の計算ですが、和となります。
さらに、17 個の 17 で和を取るのですが、同じ数を自然数個で和を取るということは乗法で表せます。
和より転じて積をなし、
17 × 17 = 172 が x の指数の部分となります。
この仕組みは、結局、
f(x) = x17 に x17 を代入すると、
17 の指数が 1 だけ増えるということになります。
x の指数の部分に着目していましたが、その指数の部分に、さらに累乗(ベキ乗)が現れるので、17 の指数も考えることになるわけです。
連分数は有名ですが、指数の部分でも一つの構造の中に、他の構造が入り込むというネスト構造が起きるという例です。
今、具体的な計算の過程を観察したのですが、この移り変わりを見ると、一般化が可能なことが分かります。
f(x) = x17 の x の指数を 17i にして、一般化を試みます。
文字を使って一般化
結局、17 の指数が 1 だけ増えるということになります。
今回の計算の重要な点は、加法と乗法の切り替えです。
この考え方は、数学II の真数と底の関係で指数関数と対数関数について学習する中で培われることになります。
x17 に x17 を代入するという途中の計算を省略することをしないで確認をしました。
高校数学の指数の計算については、
指数方程式という記事で基礎から解説をしています。
ここまで見ると、指数が自然数だと成立している内容なので、一般的な体上の多項式についても、このような計算を考えることができます。
大学の数学についての内容の記事も投稿していまして、今回の内容のつづきとなる専門課程の内容について触れておきます。
さらなる長い道のりについて
19世紀の前半、フランスのガロアが独自にガロア理論を作りました。
この理論は、今日、大学の数学科で3年くらいに学習します。代数学を専攻するときに、落とせない単位となるかもしれません。
有名なガロアですが、その理論を理解するためには、長い道のりがあります。
その中で、方程式が重解を持たない(多項式の重根なし)ということについての議論が出てきます。
この重解をもたないということについての理論を証明するときに、今回の記事で述べたような指数の計算を使います。
一般の抽象理論の証明なので、文字ばかりの証明になります。
そのような文字ばかりの証明を見ていて、理解が大変になったときのために、予め具体的な数字を用いて計算を述べておこうと思いまして、今回の記事を投稿しました。
完全体という記事では、大学の数学科の3年の内容を意識した抽象的な理論の証明を解説します。
それでは、これで今回の記事を終了します。
読んで頂き、ありがとうございました。