7の倍数判定法 | 証明は大学受験の記述の練習に【合同式の使用も手】

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" 7の倍数判定法 “を、高校の数学で普段から文字を使う式の計算で、工夫して理解しようとすると、成長につながるかと思います。

その勢いで、大学受験の記述の練習にもなるので、10進法表示を使った計算とともに体験するのは、オススメです。

まず、高1くらいの基本的な計算を使って証明をします。合同式のことを知らなくても、この証明を読むことができます。

その後で、合同式を使って証明をします。便利な記号なので、より短い記述で内容を表現できることを実感できます。

合同式が活躍する様子を知ると、大学数学の初等整数論(環論)への架け橋的な経験になるかと思います。合同式を知らない方も、後半の内容を一読して頂ければ幸いです。

ちょっとした計算の工夫に気づくかどうかで、整数の証明問題の決め手になることもあるかと思います。判定法の証明を理解するということについては、特に合同式を知らなくても問題はありません。

余裕があれば、高校の数学で合同式を経験しておくと、大学数学の環論について、二項演算や同値類を考えることへつながります。

7の倍数判定法を通じて得られる経験は、良いものがあるかと思います。

まず、最初に7の倍数判定法の証明について合同式を使った証明を書いています。抽象的な証明なので、後から、じっくりと解説をしていきます。

合同式を使わない証明は、記述が長くなりますが、その分、理解はし易くなるかと思います。

一方、自分が記述の答案を書くときには、端的に済ませるために、合同式を使った証明ができると良いかと思います。

7の倍数判定法 :具体的な数字で使ってみる

【7の倍数判定法】

自然数 a の一の位から左へ3桁ごとに区切る。

左から奇数番目の区画の和から、偶数番目の区画の和を引いた数が7の倍数ならば、a は7の倍数である。


<証明>

7の倍数判定法-証明

難しそうな気がしますが、実際にシンプルな自然数で試してみると、こういうことかと分かってくるかと思います。

ただ、合同式を使うと、これくらいの記述で証明が完成するので、合同式は役に立つかと思います。

【例】
987 | 654 | 129 と、3桁の区画に区切ります。奇数番目の区画は「987」と「129」です。偶数番目の区画は「654」です。

左から奇数番目の区画の和から、偶数番目の区画の和を引いた数が7の倍数になっているかを確認してみます。

(987 + 129) - 654 = 462 となり、これを 7 で割ると、462 = 66 × 7

確かに仮定を満たしました。

これで、987654129 という自然数が7の倍数だと分かりました。

実際に例を使って書いてみると、親近感が持てるような内容かと思います。

今の例は億の位までの内容ですが、もっと大きな自然数についても成立するということを証明します。

こういった一般論を証明するときに、文字を使って表すことが多いです。

ただ、闇雲に文字を使った計算をすると、すぐに袋小路に入ってしまいます。

ちょっとした工夫ができるかどうかという証明です。

工夫して証明

654129 という自然数だと、
129 + 654 × 103 と表します。

129 + 654000 = 654129 となっています。3桁の区画を表現するために 103 ごとに考えていきます。

「10 の 3 乗」だと、0 が三つ分ズレるので、うまい具合に表現できるということです。この表し方に気づくと、証明は意外と簡単にできます。

次の証明では、129 の区画を A0, 654 の区画を A1 というように、順に一般的な文字で表すようにします。

<証明の前半>
a の一の位から左へ3桁ごとに区切り、奇数番目の区画が m 個あったとします。

各区画に現れる3桁の数を表したものを順に A0, A1, A2, … , Am とおきます。

a =
A0+A1103+A2(103)2+…+Am(103)m

ここで、除法の原理より、
10 = 7 × 1 + 3 (0 ≦ 3 < 7)

103 = (7 + 1)3
= 73 + 3・72 + 3・7 + 33 となります。

ここで、7 でくくり出せる部分を 7 でくくります。

すると、
103 = 7 × (72 + 3・7 + 3) + 33

つまり、103 = 7t + 33 (t は整数) という形に表すことができます。

そして、33 = 27 = 28 - 1 = 7 × 4 - 1 なので、103 = 7× (t + 1) - 1

ここで、t + 1 を s1 と置くと、
103 = 7s1 - 1 ( s1 は整数)

よって、(103)2 = (7s1 - 1)2 です。

右辺を計算すると、7 × 整数 + (-1)2 という形になります。

この整数を s2 と置くと、
(103)2 = 7s2 + (- 1)2 (s2 は整数)

(103)3 = (7s1 - 1)3 です。

右辺を展開すると、一の位は、(-1)3 で、十の位以降の数にはすべて 7 が掛けられている状態になっています。

<補足>

(7s1 - 1)3 = (7s1 - 1)2 (7s1 - 1)
= 7(7s1 - 1)2 s1 + (7s1 - 1)2 × (-1)
(これは 7 × 整数 + (-1)3 という形)

7の倍数判定法-二項展開で証明

より一般的には、二項展開で、7 × 整数 + (-1)k が導けます。

よって、
(103)3 = 7s3 + (- 1)3 (s3 は整数)

この手順を続けると、
(103)k = 7sk + (- 1)k (sk は整数)

これで、m 以下の自然数 k について、
(103)k が、7 × 整数 + (-1)k という形になっていることが分かりました。

a = A0+A1103+A2(103)2+…+Am(103)m に、分かったことを当てはめてみます。

(m + 1) 個の項には、
それぞれ7の倍数と (-1) の自然数乗が現れています。

したがって、a は整数 z を用いて、
a = 7z + A0 + (-1)A1 + (-1)2A2 + …
… + (-1)mAm と表せます。

証明の後半

a は、仮定「左から奇数番目の区画の和から、偶数番目の区画の和を引いた数が7の倍数」を満たしています。

7z の部分は、7 の倍数なので、他の部分を観察してみます。

<他の部分>
A0+(-1)A1+(-1)2A2+…+(-1)mAm

右下の添え字が奇数のときには、(-1) の指数は奇数なので、値は -1 となっています。

つまり、
A0+(-1)A1+(-1)2A2+…+(-1)mAm
= (A0+A2+…) - (A1+A3+…)
= -{(A1+A3+…) - (A0+A2+…)}

仮定より、
(A1+A3+…) - (A0+A2+…) は 7の倍数なので、7z を加えた a は 7の倍数となります。【証明完了】

ここから、合同(式)について解説します。

7の倍数判定法 :高校の発展内容だけど使うと証明が楽

指数が絡んだ文字の計算をしているだけでしたが、結構な記述量になりました。

ここで、整数の合同式を使うと記述が端的にできます。


【合同の定義】
k を自然数として割る数とします。そして、a, b を整数とします。
「a - b が k で割り切れる」ときに a と b が k を法として合同といいます。

※ 合同なとき、a ≡ b (mod k) と表します。


*もう一つの定義である「a を k で割った余りと b を k で割った余りが等しい」ということが同値になります。

ユークリッド整域という大学の環論についての記事で厳密な除法の定理とともに証明を述べています。

この合同な式の性質として、次が成立します。


【合同式の性質】

■ a = b ならば a ≡ b
 ※ 反射律
■ a ≡ b ならば b ≡ a
 ※ 対称律
■ a ≡ b かつ b ≡ c ならば、a ≡ c
 ※ 推移律

■ a ≡ b ならば、任意の整数 d について ad ≡ bd
 また、a + d ≡ b + d

■ 自然数 n に対して、
 a ≡ b (mod k) ならば、an ≡ bn


これを使うと、先ほどの証明の記述量を大幅に減らすことができます。

a = A0+A1103+A2(103)2+…+Am(103)m と表してからが長かったです。

ここから、合同式を使って証明をしてみます。

<証明を合同式で>

10 - 3 は 7 で割り切れるので、
10 ≡ 3 (mod 7)

合同式の性質より、自然数 3 に対して、
103 ≡ 33 ≡ 27 ≡ -1 (mod 7)

103 ≡ -1 より、任意の自然数 k に対して、
(103)k ≡ (-1)k (mod 7)

a = A0+A1103+A2(103)2+…+Am(103)m より
a ≡ A0+(-1)A1+(-1)2A2 +…+(-1)mAm

* 7 で割り切れることを証明したいので、0 と合同となれば完了です。

余りが 0 ということは、7 で割り切れたということになります。

-1 の奇数乗は -1 なので、
a ≡ (A0 + A2 + … ) - (A1 + A3 + …)

仮定より、a ≡ 0 (mod 7)【証明終了】

圧倒的に合同式が使えると記述が楽になります。

最後に、上で使った合同式の性質を利用した変形を少しまとめています。

a = b ならば a ≡ b を使用
33 = 27 より 33 ≡ 27

a ≡ b かつ b ≡ c ならば a ≡ c を使用
103 ≡33, 33 ≡ 27 より 103 ≡ 27

合同式でつながっているものどうしは、どの二つも 7 を法とした合同の定義に当てはまります。
【例】
103 ≡ 33 ≡ 27 ≡ -1

103-(-1) = 1001 は 7 で割り切れます。

合同式に慣れるまでが大変ですが、使えると役に立ちます。

もう少し試してみます。

5の倍数判定法

a = an10n + an-110n-1 + … a1101 +a0 を自然数 a の10進数表示とします。

このとき、一の位の数が 0 か 5 であれば、a は 5 の倍数となります。


<証明>
10 ≡ 0 (mod 5) なので、自然数 k に対して、
10k ≡ 0 (mod 5)

よって、a ≡ a0 (mod 5)

この一の位の整数 a0 が、仮定より 0 か 5 なので、5 で割り切れます。

すなわち、a0 が 0 と合同なので、
a ≡ a0 ≡ 0 (mod 5)

これで、a が 5の倍数であることが示せました。【証明完了】

3の倍数判定法の証明も、整数問題の記述証明や、合同式の練習として良いかと思います。

3の倍数(もしくは9の倍数)については、リンク先の記事で解説をしています。

11の倍数判定法

a = a0 + a110 + a2102 + … + an10n という自然数 a について、最高位の整数 an から一の位までに向かって、奇数番目のものの和を取ります。

そして、偶数番目のものの和を引いてできる整数が、11 の倍数とします。

このとき、a は 11 の倍数です。


<証明>
10 - (-1) が 11 の倍数だから、
10 ≡ -1 (mod 11) なので、
a = a0 + … + an10n
≡ a0 + (-1)a1 + (-1)2a2 + … + (-1)nan
= (a0 + a2 + … ) - (a1 + a3 + … )
≡ 0 (mod 11)

すなわち、a が 11 の倍数ということが示せました。【証明完了】

仮定より、最高位の整数 an から一の位までに向かって奇数番目のものの和から、偶数番目のものの和を引いてできる整数が、11 の倍数です。

そのため、
(a0 + a2 + … ) - (a1 + a3 + … ) が 11 の倍数なので、証明の最後に ≡ 0 となりました。

合同式に慣れるために、
29876 = 11 × 2716 という 11 の倍数を使って、証明の様子を眺めてみます。

29876
= 6+7×10+8×102+9×103+2×104
≡ 6-7+(-1)2×8+(-1)3×9+(-1)4×2
≡ (6 + 8 + 2) - (7 + 9)
≡ 16 - 16 ≡ 0 (mod 11)

最高位から奇数番目たちの和が (6 + 8 + 2) で、偶数番目たちの和が (7 + 9) です。

その差が 11 の倍数となっています。

7の倍数判定法 :合同式と周期性

372022 の一の位の数を求めます。


<考え方>

372022 を 10 進法で表したとき、10 で割で割ると十の位以降は、10 を法としたときに 0 と合同になります。そのため、一の位の数が 372022 と合同になります。

372022 ≡ x (mod 10) だとすると、
372022 = 10z + x とある整数 z を用いて表せることになります。

10z + x を10 で割った余りと、372022 を 10 で割った余りが同じということです。

10z + x という整数を 10 で割った余りが x で、これが一の位の数ということになります。方針が定まったので、実際に一の位の数を求めます。

答えとなる数

10 を法として考えます。割る数を 10 として考え、10 で割ったときの余りである一の位の数と合同になることを利用します。

37 ≡ 7 (mod 10) より、372 ≡ 72 = 49 です。

49 - 1 = 50 で、50 は 10 で割り切れるので、合同のもう一つの定義から、
372 ≡ 49 ≡ -1

よって、
372022 ≡ (32)1011 ≡ (-1)1011 ≡ -1 となります。

これは、37 を二乗すると -1 と合同になることを 1011 セット行ったことになります。

その結果、-1 と合同になることが分かりました。

つまり、372022 ≡ -1 (mod 10)

このままでは、10 で割ったときの余りがマイナスです。ここで、あと少しの工夫をします。

合同式の定義から、
372022 = 10z + (-1) と、ある整数 z を用いて表すことができます。

372022 ≡ 10z + (-1)・・・(1)

同じ整数なので、10 で割ったときの余りが同じということです。

10z = 10(z - 1) + 10 です。

この両辺に (-1) を加えると、
10z + (-1) = 10(z - 1) + 9

右辺の 10(z - 1) + 9 を 10 で割ったときの余りは 9 なので、右辺と等しい左辺を 10 で割ったときの余りも 9 です。

よって、
10z + (-1) ≡ 9 (mod 10)・・・(2)

(1) と (2) に合同式の性質を使うと、
372022 ≡ 9 (mod 10)

これで、372022 を 10 で割ったときの余りが 9 と分かりました。この 9 が一の位の数でした。これで、答えが求まりました。

一の位の数についての証明問題は、整数分野で出題される論点になります。

素因数の個数という記事で、今回とは違ったアプローチで一の位の数について解説をしています。

これで、今回のブログ記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。