4の倍数 ; 見分け方 | 下2桁で判断することから何通りかを数える練習問題【証明もアリ】
「 4の倍数 ; 見分け方 」に関して、具体的な例を使いつつ、並び替え問題との合わせた練習問題を解説しています。
その見分け方で、確かに自然数が 4 の倍数となっていることの証明も述べています。
証明については、3桁以上の自然数を如何にして文字を使って表すのかということが大切になります。
文字を使って一般的に表すということは、数学で使われる手段の一つなので慣れるために良い内容になるかと思います。
4の倍数は、4t (t は整数)という形で表すことができます。4 と整数の積の形となっていると、4の倍数です。
中学の数学で学習した文字式の考え方を使って、議論を広げます。
4の倍数 : 中学一年までの内容から
4の倍数を、文字を使って表すことを知ると、その考え方を使って議論を進めることができます。
4の倍数と4の倍数で和をとると、その値も4の倍数となっていることを証明することができます。
文字を使って、このことを証明してみます。
【和も4の倍数である】
二つの自然数 m, n が、どちらも 4の倍数とします。
このとき、
m = 4a, n = 4b (a, b は整数) と表すことができます。
m+n = 4a+4b
= 4(a+b) と、4の倍数どうしの和を文字で表すことができました。
a, b は整数なので、
a+b も整数です。
そのため、4(a+b) は、4 と整数の積です。
よって、m+n は 4 の倍数であることが示せました。
今度は、この要領で、4の倍数どうしの積も4の倍数となっていることを証明します。
4の倍数どうしの積も4の倍数
【証明の練習】
自然数 m, n を4の倍数とする。
このとき、積 mn も4の倍数である。
<証明>
整数 a, b を用いて、
m = 4a, n = 4b と表すことができます。
mn = (4a)×(4b)
= 4×(4ab) となっています。
4, a, b は整数なので、
4ab も整数です。
よって、
mn = 4×(4ab) は、4の倍数です。【証明完了】
ここまで、文字を使って4の倍数を表すことについて述べてきました。
文字を使うことに慣れつつ、やはり具体的な数字の計算も大切になります。
四の段の九九
四×一が 4、四×二が 8。
四×三→12、四×四→16。
四×五→20、四×六→24。
四×七→28、四×八→32。
四×九→三十六!
4×10 = 40 と合わせて、40 以下の自然数は九九を使って 1 秒以内に見分けられるようになっておくことが大切です。
テストのときに、時間制限があるので、速く正確に計算を行うために、普段から計算を鍛えておくと良いかと思います。
44 から 96 までの4の倍数については、2秒くらいかかっても良いのでミスなく 4 で割り切れることを確かめられるように、日頃からの計算のトレーニングが効いてきます。
二桁以下の4の倍数の見分けでミスが出ると、問題を解く出だしで転ぶことになってしまうので、基礎体力として計算は大切です。
それでは、ここから4の倍数の見分け方について説明します。
4の倍数 ; 見分け方【三桁以上で】
891724 というように、三桁以上の自然数が、4の倍数かどうかを見分ける方法について説明をします。
【見分け方】
n を三桁以上の自然数とする。
n の下2桁の整数が 4 の倍数であるならば、n は4の倍数である。
891724 を n として、見分け方を使って、調べてみます。
下2桁の整数は、24 です。
24 は 4 の倍数なので、
891724 は仮定条件に当てはまりました。
そのため、891724 は 4 の倍数です。
この見分け方ですが、補足内容があります。
【補足】
下2桁の十の位が 0 のときは、気にせず一の位が 4 の倍数かどうかで決定をする。
※ 下2桁が 00 のときも 4 の倍数です。
具体例を使って、補足内容について説明します。
71304 だと、04 が下2桁となります。
十の位が 0 ということが気になるところですが、04 を 4 だと考え、4 が4の倍数だと判断します。
04、つまり 4 が 4 の倍数だから、
71304 は 4 の倍数という流れで判断をします。
71305 だと、
05、つまり 5 は 4の倍数でないから、4の倍数ではないと見分けます。
さらに、71300 のように、下2桁が 00 のときも 4 の倍数です。
この補足内容ですが、見分け方で4の倍数が判断できることの証明を理解すると、その内容が含まれていることが分かります。
見分け方の証明
n を3桁以上の自然数とする。
n の下2桁が4の倍数であるとき、n は4の倍数である。
3桁以上の自然数 n を文字で表します。
n = 100a+10b+c と、0 以上 9 以下の非負整数 a, b, c を用いて表すことができます。
ただし、n は3桁の自然数なので、a は 0 でないとします。
100a = 4×(25a) で、
25a は整数より、
100a は 4の倍数です。
仮定より、10b+c という下2桁も 4の倍数です。
4の倍数どうしの和も 4 の倍数ということを、既に示しました。
そのため、
100a+(10b+a) は 4の倍数です。
すなわち、
n = 100a+10b+c は 4 の倍数です。【証明完了】
b = 0 かつ c = 0 であったとしても、
0 は 4 で割り切れるので、0 は4の倍数です。
そのため、
71300 のように 00 が下2桁のときも、補足で述べたように4の倍数です。
b = 0 で、c が 4 の倍数というときも、
10b+c が4の倍数なので、証明の通りとなります。
文字を使った一般的な証明を理解するのは大変ですが、理解しようと頑張っていると、そのうち内容が分かってきます。
文字を使った内容については、具体的な値を当てはめてみて、様子を観察してみるというのも理解の助けになるときもあります。
ここからは、今、示した4の倍数の見分け方を使った、場合の数と整数の融合問題を扱うことにします。
リンク先の記事でも、よく出てきそうな整数と場合の数についての融合問題を解説しています。
4の倍数 ; 見分け方【融合問題】
【問題】
1, 2, 3, 4 の 4 つの数を一列に並べ、4桁の整数を作ります。
このとき、その4桁の整数が 4 の倍数となるのは何通りかを求めてください。
異なる 4 個の自然数を一列に並べる並べ方は全部で、
4! = 24 通りです。
24 通りだと、すべて書き出すこともできますが、論理的に考える練習と思って、道筋立てて答えを求めることにします。
「4の倍数」を作りたいので、下2桁が 4 の倍数となっているものだけを拾い上げることになります。
つまり、
■■□□ の下2桁の□□が 4 の倍数となっている順列が何通り作れるのかということを考えます。
1, 2, 3, 4 の 4 個だけを並べるので、28 や 20 といったものは現れません。
また、44 のように異なる桁に同じ数字を配置することもできません。
0 は無いため、□□ は 12 以上の4の倍数ということになります。
ここからは、九九の力でゴールまでの道を考えます。
12 以上の2桁の自然数で、この問題の設定の下で作ることのできる4の倍数を考えます。
「12」は作れますが、
16←6は使えない、
20←0は使えません。
「24」は作れますが、
28←8は使えない、
「32」は作れますが、
36←6は使えません。
40←0は使えなし、
44←4は一度だけ、
48←8は使えません。
これ以上は、十の位が 5 以上なので作れません。
以上より、
■■□□ の下2桁は、
12、24、32 ということが分かりました。
ここで、最後の詰めです。
■■12 だと、残りの 3 と 4 を■に配置します。
3412 と 4312 の2通りが得られます。
このように、
■■24 と ■■32 からも、それぞれ2通りが得られます。
すなわち、
□□ が 12、24、32 の3通りで、それぞれが2通りに分岐するということです。
よって、
3 × 2 = 6(通り)が答えとなります。
答えに辿り着きましたが、高校数学ならではの論理的な考察を使いました。
こういう内容を理解するためにも、具体例で思考の流れを確認しておくことが大切になります。
視覚的に振り返り
下2桁が 32 だと、
1432 と 4132 と対になって現れています。
これが、先ほど、
3 × 2 と 2 倍した理由です。
4! = 24 個の順列の中で、4 の倍数となっているものが 6 個ということが分かりました。
このように、場合の数(確率)の単元でも、計算の速さと正確さは大切なので、日頃からの練習が大切になります。
この問題を正解するためには、途中で九九の計算から、設定に合わない2桁の4の倍数を外しました。
計算ミスをすると、場合を適切に数えられなくなってしまいます。
反対に、速く正確に計算ができると、こういった問題で正解するチャンスが広がります。
この記事は、4の倍数かどうかを見分けるということを中心に述べてきました。
ここからは、算数で有名なうるう年かどうかを見分けるということに関連する内容を扱います。
4の倍数 :うるう年の見分け方から
1 年が 366日の年が「うるう年」です。1 日のちがいのために計算を修正しなければならないわけですが、どの年が「うるう年」かを見分けられないと手がつけられません。
そこで、教養として「うるう年」の把握の仕方を述べておきます。
「にし向くサムライ」などと申しまして、日数が31日ではない月があります。
2月、4月、6月、9月、11月の五つの月は日数が31日ではありません。
4月と11月は日数が30日です。
さらに気をつけたいのが"2月"です。4 年に一度、日数が29日になります。
通常の年は、2月の日数は29日です。しかし、4年に一度やってくる「うるう年」では、日数が29日となります。
うるう年について押さえる点は次の三つです。
・西暦の年が 4 の倍数でない
→ うるう年でない
・西暦の年が 4 の倍数
→ うるう年
・うるう年のとき、2月の日数は29日
具体的に「うるう年」を計算で判断してみます。
<例>
2020年について調べます。
2020 は 4 で割り切れるので、4 の倍数です。
そのため、2020年は「うるう年」です。
<例>
2023年について調べます。
2023 を 4 で割ると、余りが 3 です。
4 の倍数ではないため、
2023年は、うるう年ではございません。
これで、〇日後と〇日目のカウントのちがいと、うるう年の見分けができました。
ここから実践的な練習問題で、論理的な計算規則で日付を判断する力をトレーニングします。
日暦算という日付の計算
暦の計算をする上で、はじめに設定を明確にしておかないと内容が正しい受け答えができなくなってしまうことがあります。
〇日後と〇日目について、ちがいを述べておきます。その後で、うるう年の見分け方について説明します。
〇日後だと、そのまま足して日付を計算します。
<例>
4/2 の 3 日後を計算します。
4/2 → 4/3 → 4/4 → 4/5
3 日が経過して、4/5 になりました。
3 日"後"だと、2 に 3 をそのまま足して、
4/2 の 3 日後が 4/5 です。
~から〇日目の計算との区別が大切になります。
from A to B の A の日付をカウントして数え、計算をします。
<例>
4/2 から 3 日目を考えます。
4/2 が 1 日目、
4/3 が 2 日目、
4/4 が 3 日目となります。
起点となる 4/2 を 1 日目として数えています。
そのため、
4/2 から 3 日目は、
4/2 の (3-2)日後ということが同じ意味になります。
これで、「□の〇日後」と「□から〇日目」の区別ができました。
月を越える日付の計算
【実践練習1】
6月23日の24日後は何月何日か求めてください。
和で区切りを考えることが大切になります。
6月は30日がラストの日になります。
起点となる23日から7日後が6月の30日という月の最後の日です。
実際、23+7 = 30 です。
24日後のうち7日を既に使い6月30日までカウントしました。
さらに1日が経過すると7月1日となります。
24日後を、
7日後の17日後と考え、
6月30日から17日後が求める月日だと分かります。
よって、
7月17日が求める月日です。
さらに、高校数学の同値な書き換えへと考えを広げます。
〇日後を〇日目に書き換えることができました。
ということは、〇日目で考えるということもできます。
【実践練習2】
6月23日から25日目は何月何日でしょうか。
AからB日目は、
Aの(B-1)日後と同値でした。
数学では同値な内容で書き換えることができます。
そのため、
6月23日から25日目は、
6月23日の24日後と同じです。
よって、【練習問題1】より
7月17日が6月23日から25日目の月日となります。
このように、高校や大学の数学で既に示された内容を使って、議論が跳躍することがあります。
適切に論理を使いこなすことで、多くの情報量を操作することができたりします。
うるう年と年越し
【発展問題】
2015年5月3日の365日後は、
2016年の何月何日か求めてください。
大学受験で、問題冊子の余白の部分を使って計算を下書きすることがあります。
メモを有効に活用することが大切になります。
「ニシ向くサムライ」で、31日ではない月を拾い上げるとともに、31日の日数の月も分けて把握します。
そして、2016は 4 の倍数なので「うるう年」となっています。
2016年の2月は、29日の日数があるので注意です。
まず、5月の日数は31日ということから計算を始めます。
2015年5月3日の28日後が、
2015年5月31日です。
ここで、メモを活用します。
これらの内容を計算でまとめます。
2016年の4月31日の段階で何日が経過したのかを押さえます。
うるう年をどう計算するのかということが焦点となる日付の計算です。
はじめに、2015年5月31日までで28日の日数が経過しています。
ここから、30日の日数の月を 4 つと、31日の月を 6 つ経過します。
除夜の鐘の向こうの2016年は「うるう年」で2月が29日の日数になっているので注意です。
2016年の2月を外して計算をしておき、後で29日の日数を追加すると考えやすいです。
そうすると、
2016年の4月30日までで何日が経過したのかを求めることができます。
28+30×4+31×6+29
= 28+129+186+29
= 363(日後)
よって、
2015年5月3日の363日後が
2016年4月30日です。
あと 2 日が過ぎると365日後です。
2016年4月30日の2日後は
2016年5月2日です。
これで、
2015年5月3日の365日後が
2016年5月2日と分かりました。
2016年が「うるう年」なので、ちょうど同じ日付にならなかったわけです。
1 日のズレをどうするのかを、正確に月単位で追いかけて演算しました。
5/2, 5/3, 5/4 のうちのどれかになりそうですが、悩むときにはデジタルに正確に計算してみると明らかになります。
月の最後の日付に注目してリレーをすると、正確に数え上げることができるので、焦らずに落ち着いて情報を把握することが大切になる日付の計算です。
4の倍数に関連する記事も述べておきます。
整数について、
3の倍数判定法も有名です。
この証明については、十進法表示を用いた、やや難度の高い証明を扱っています。
さらに難度を上げたものに、
7の倍数判定法があります。
判定する方法自体が、文章で述べると難しそうな雰囲気です。
具体的な例で、判定法が意味することを押さえつつ、一般的な証明へと議論を進めています。
それでは、これで今回の記事を終了します。
読んで頂き、ありがとうございました。