半角の公式 – 使い方 – 証明 |高校で学習する数IIの内容
" 半角の公式 – 使い方 – 証明 “について、解説をしています。
まず具体的な値を用いて、半角の公式を使うことについて述べています。
使い方を通じて公式に慣れた後は、公式を自分で導出できるようになることが大切になります。
サイン、コサイン、タンジェントについての式の書き換えの良い練習にもなります。
それでは、半角の公式について、有名角を使った内容から述べます。
半角の公式 : 使い方
θ = 30° という角の大きさについて考えてみます。
2つの角の大きさについて、サインとコサインは二乗がついている方の角よりも、角の大きさが二倍になっています。
この公式(等式)を使い、有名角についての値を利用して、二乗がついている方の値と一乗の方の値のつながりを見てみます。
cos 30° のときの値と cos 60° のときの値のつながりです。
【半角の公式】
cos2θ/2 = (1+cos θ)/2
= (1+cos θ)×1/2
cos 60° の値だと、
cos 60° = 1/2 です。
右辺について、
(1+cos 60°)/2
= (1+1/2)×1/2
= 3/2 × 1/2 = 3/4
左辺について、
31/2 を二乗すると 3 なので、
cos230° = 3/4 です。
よって、右辺と左辺は、
どちらも 3/4 と等しい値となっています。
この等式を利用して、分かっている三角関数の値から、角の大きさが半分になっている方の値を求めることができます。
もちろん、角の大きさが二倍の方の値が分かっている状況から、その角の半分の大きさについての三角関数の値を求めるということも考えられます。
いずれにせよ、等式を用いて、三角関数の値が分かっている方から分からない方を求めるという使い方ができます。
具体例で練習
【問題】
90° < θ < 180° とし、
cos θ = -1/3 とします。
このとき、sin θ/2 の値を求めてください。
【解答と解説】
今度は、サインについての半角の公式を使います。
【半角の公式】
sin2θ/2=(1-cos θ)/2
= (1-cos θ) × 1/2
cos θ = -1/3 と右辺の値が分かっているので、これを足掛かりにして、サインの方の値を求めます。
sin2θ/2
= (1-cos θ)/2
= (1+1/3)/2
= 4/3 × 1/2
= 2/3 となっています。
つまり、
sin2θ/2 = 2/3 です。
ここで、90° < θ < 180° という角の大きさについての範囲に注意です。
この範囲では、サインについての三角関数の値は必ず正です。
そのため、負の値は出てきません。
この問題では、度数を使いました。
しかし、弧度法を用いることが一般的です。
※ 度数と弧度の変換については、リンク先の記事で解説をしています。
ここからは、倍角の公式から半角の公式を導く証明の内容を述べます。
半角の公式 : 証明
【倍角の公式】
cos2x = 1-2sin2x,
cos2x = 2cos2x-1
これらを使うことで、サインとコサインについての半角の公式を証明できます。
まずサインの方の半角の公式を証明します。
次の上に述べている等式を導きます。
sin2θ/2=(1-cos θ)/2,
cos2θ/2=(1+cos θ)/2
<証明>
倍角の公式より、
cos2x = 1-2sin2x です。
移項すると、
2sin2x = 1-cos2x です。
1/2 を両辺に掛けると、
sin2x = (1-cos2x)/2 です。
ここで、x に θ/2 を代入します。
すると、
sin2θ/2=(1-cos θ)/2 となります。【証明完了】
同じようにして、もう1つの倍角の公式から、コサインについての半角の公式が導けます。
倍角の公式から同じように
今度は、cos2x = 2cos2x-1 の方の倍角の公式から、コサインについての半角の公式を導きます。
<証明>
倍角の公式から、
cos2x = 2cos2x-1 です。
移項すると、
2cos2x = 1+cos2x です。
1/2 を両辺に掛けて、
cos2x = (1+cos2x)/2 となります。
ここで、x に θ/2 を代入します。
すると、
cos2θ/2=(1+cos θ)/2 となります。【証明完了】
このように、自分で公式を導けるようになっておくと、半角の公式を忘れても復元できるので心強いかと思います。
半角の公式とタンジェント
タンジェントについては、サインとコサインについての等式から、すぐに導けます。
cos2θ/2=(1+cos θ)/2,
sin2θ/2=(1-cos θ)/2 でした。
tan2θ/2 は、
cos2θ/2 ÷ sin2θ/2 です。
そのため、半角の公式の右辺について、逆数を掛けると分母の 2 が約分されて消えます。
よって、
(1+cos θ)/(1-cos θ) が、
tan2θ/2 と等しくなります。
これで、タンジェントについても半角の公式を証明することができました。
半角の公式を使う練習
【問題】
30° ≦ x ≦ 90° のとき、
f(x) = 2sin2x+6cos2x の最大値を求めてください。
<解答と解説>
サインとコサインが二つ現れているので、関数が取る値が分かりにくくなっています。
そこで、半角の公式を使ってコサインだけに式へと書き換えます。
sin2θ/2 =(1-cos θ)/2,
cos2θ/2 =(1+cos θ)/2 でした。
θ/2 = x として、
つまり、θ = 2x と置き、
f(x) の式を変形します。
2sin2x =2sin2θ/2
=1-cos θ
= 1-cos2x,
6cos2x = 6cos2θ/2
= 3+3cos2x です。
これらで f(x) を書き換えます。
すると、
f(x) = (1-cos2x)+(3+3cos2x)
= 4+2cos2x となります。
これでコサインだけの式になったので、関数が取る値が見やすくなりました。
30° ≦ x ≦ 90° だったので、
60° ≦ 2x ≦ 180° となります。
この 2x の角度の大きさの範囲では、
-1 ≦ cos2x ≦ 1/2 となります。
よって、
x = 30° のとき、
cos2x = cos60° = 1/2 となります。
したがって、
f(30°) = 4+2・1/2
= 4+1 = 5 が求める最大値です。
別の解き方
実は、この問題は他の式の書き換えで解くことができます。
サインやコサインの書き換えでは、複数の可能性が生じることがあるので、大学受験の問題を解くときに、状況に応じた判断をすることが大切になります。
今回の問題では、どちらの解き方でも大した差がなく答えに辿り着くことができます。
sin2x+cos2x = 1 という数I で学習した公式を使います。
f(x) = 2sin2x+6cos2x
= 2(sin2x+cos2x)+4cos2x
= 2+4cos2x です。
ここで、
30° ≦ x ≦ 90° より、
0 ≦ cos2x ≦ 3/4 です。
よって、
x = 30° のときに関数が求める最大値を取ることになります。
f(30°) = 2+4・3/4
= 2+3 = 5 と同じ最大値となっています。
【関連する記事】
和積変換公式(数II),
正弦定理(数I)という記事を投稿しています。
今回の半角の公式よりも、複雑な内容になりますが、数IIで学習する重要な公式になるので、早い段階で理解をできると良いかと思います。
この記事で証明した半角の公式は、次数を下げるという見方をすることもできます。
数IIIの微積の範囲でも使う公式になるので、半角の公式は、基礎となる公式の1つです。
それでは、これで今回の記事を終了します。
読んで頂き、ありがとうございました。