指数方程式 | 底をそろえることから始めてグラフの概形も意識する

" 指数方程式 “を高校の数学IIで学習します。

底が一定の定数で、指数が変数となって変化する指数関数のグラフの概形を意識して方程式の解を求めます。

そのため、指数関数についての基本となる性質を押さえた上で、指数についての計算を着実に実行することになります。

よく使う典型的な式の計算について、具体的な数字を使って、指数方程式の解き方を解説しています。

底の値によって、異なるタイプのグラフの概形となるため、底の値の範囲に気をつけて議論を進めることになる単元となります。

後半では、不等式についての内容を扱います。

指数方程式 :準備の基礎知識

【指数法則】

底 a について、次の規則を基礎として計算を進めます。

(ap)q = apq,
ap・aq = ap+q


実数 p, q について、この指数法則が成立することを実数についての基礎から導き出す厳密証明は、大学の数学科で学習する内容となります。

整数ではなく、実数 p, q で成立するということを正しい事実として、この指数法則を着実に使いこなせるようになることが、高校の数学では大切になります。

実数乗という大学用の指数が無理数のときの厳密な内容の記事も投稿していますが、数学科の大学内容でなければ正しい事実として使うことになります。

さらに、この指数法則と合わせて、指数関数のグラフについても考えをよせることもあります。

【グラフの概形】

底 a が 0 < a < 1 のとき、
y = ax は、単調減少関数である。

底 a が a > 1 のとき、
y = ax は、単調増加関数である。

この単調な関数ということが、方程式の解を決定するときに関わります。

単調な関数を詳しく

0 < a < 1 という底のときについて、説明をしておきます。

y = ax は、単調減少なグラフになります。

そのため、y の値が x の値が小さいほど大きくなります。

x 軸について、左に行けば行くほど y の値が大きくなるという状況になっています。

x → -∞ のとき、
y → +∞ と極限の記号を使って表されます。

逆に x の値を大きくすると、y の値は小さくなります。

x → +∞ のとき、
y → 0 となります。

これは、x 軸を右の方へと見ると、y の値が限りなく 0 に近づくということです。

ここまでの内容に、次の内容が関わります。

x1 < x2 のとき、ax1 > ax2 となることから、x の値が、ごくわずかでも異なると、対応する y の値が異なるということです。

そのため、r を 0 より大きい実数とすると、y の値が r と一致するように x の値が、ただ1つだけ決まります。

このグラフの概形の内容が、指数方程式を解くときの拠り所となります。

a > 1 という底が 1 よりも大きいときは、単調減少となります。

x → +∞ のとき、
y → +∞ であり、
x → -∞ のとき、
y → 0 となっています。

そのため、r > 0 が与えられると、やはり y の値が r となる x の値が、ただ1つのみ決まるということになります。

それでは、指数法則とグラフの概形に基づき、具体的な練習問題を解説します。

指数方程式 :底をそろえる

【練習問題1】

2x+2 = 43 を満たす実数 x を求めてください。


左辺について、底は 2 です。

右辺は、底が 4 となっています。

このように、底が異なっているときは、底を共通の数字にそろえることを考えます。

そこで役立つのが指数法則です。

4 = 22 なので、共通の底として 2 を考えることができそうです。

このことから、
右辺 = 43 = (22)3
= 22×3 = 26 です。

よって、与えられた指数方程式を書き換えることができます。

2x+2 = 26 です。

ここで、指数関数が単調な関数であることが効きます。

y = 2t は、底 2 が 1 寄りも大きいので、単調増加関数です。

そのため、t の値がわずかでも異なると、y の値が異なります。

今、2x+2 = 26 と一致しています。

よって、単調な関数だから、指数の値が同じでなければならないということになります。

すなわち、
x+2 = 6 ということです。

ここまで来ると、後は中学以来の普通の方程式です。

移項をして、
x = 4 が求める値となります。

基礎となる数学的な根拠を述べたので、記述が長くなりましたが、実際の試験ではここまで説明をしなくても大丈夫です。

しかし、指数関数が単調な関数ということを押さえた上で、正しく指数についての計算を進めることを高校二年の頃から意識しておくと、数学IIIの内容にも自然と理解がつながります。

今度は、シンプルな記述にして、要所が分かるように計算式を述べるに留めます。

要所を押さえた記述

【練習問題2】

3x+2 = 243 を満たす実数 x を求めてください。


243 = 35 より、
3x+2 = 35 です。

指数関数の単調性から、
x+2 = 5 でなければなりません。

よって、x = 3 が求める値です。

これくらいに、計算過程が内容を物語るくらいにしておけば大丈夫です。

答えとなる数値だけが問題となるマーク型のときは、自分さえ内容を掴めれば良いのですが、結果を導くときの根拠は意識しておくと、記述の答案作成にもつながるかと思います。

また、数学IIIなどの他の単元への理解も広げやすくなるかと思います。

次は、他の文字を使って置き換えをすると、内容が見やすくなるタイプの指数方程式を扱います。

指数方程式 :文字で置く

【練習問題3】

22x-14・2x-32 = 0 を満たす実数 x の値を求めてください。


指数法則から、
22x = (2x)2 です。

そのため、与えられた指数方程式の左辺には 2x が現れています。

ここで、y = 2x と置きます。

他の文字で置くと、
22x-14・2x-32
= y2-14y-32 と見やすい方程式になりました。

これだと、
y2-14y-32 = 0 という y についての二次方程式です。

二次方程式となれば、解の公式を使えば解が求まるので、気分が楽になります。

ただ、今回の式については、因数分解ができるので、因数分解をした方が楽です。

y2-14y-32 = 0 より
(y+2)(y-16) = 0 です。

ゆえに、
y = -2 または y = 16 です。

ここで、y = 2x について、置いた文字の範囲に注意です。

この指数関数は、底 2 > 1 より、右上がりの単調増加関数で、先ほど述べたように横軸である x 軸よりも上にグラフがあります。

つまり、y > 0 となっています。

よって、y = -2 は不適となっています。

これより、y = 16 です。

求めたいのは、x の値なので y を元に戻します。

2x = 16 となります。

つまり、
2x = 24 です。

したがって、x = 4 が求める値です。

この問題は、x が実数全体を動いているという設定で議論をしました。

他の文字で置いたときに、その文字が動く範囲を意識するということが大切になることがあります。

その顕著な内容が、数学IIIの置換積分で出てきます。

x が動く積分範囲において、置換した文字の範囲を積分範囲として考えることをして定積分を計算する内容になります。

また、数IIIでなくても、化学や物理などでも、置いた文字が、どのような値を取るのかを考えるときもあります。

そのため、他の文字で置いたときに、その新しい文字の範囲を考えることを日頃から意識しておくと良いかと思います。

次は、対数との融合問題です。

逆の対応も意識する問題

【練習問題4】

実数 x が x > 0 とします。

このとき、
32x+1-5・3x-2 = 0 の解を対数を用いて求めてください。


32x+1 = 3・(3x)2 です。

そこで、3x = t と置きます。

x > 0 で、底 3 > 1 より、
t > 1 …★

ここでも指数関数のグラフの概形についての知識が役に立ちました。

よって、与えられた方程式は
3t2-5t-2 = 0 です。

ここで、たすき掛けの因数分解をします。

t を元に戻します。

3x = 2 です。

これは、3 を x 乗すると、その値が 2 ということになります。

よって、真数と底の関係から、
log32 = x となります。

確かに対数の単元で学習したように、
3x = 2 なので、
x = log32が求める x の値となります。

ちょっと無理な計算のような練習問題にしましたが、マーク型の試験でマークの形から対数にするというときもあります。

たとえば、
x = log[ア][イ] となっていて、
[ア]と[イ]に当てはまる数字をマークするというような問題が出題されるときもあるかもしれません。

マークのときは、誘導の意図を汲んで適した形に直したりすることも必要になるので、記述のときよりも気をつけたいところです。

答えが整数でない問題も出題されることもあるので、対数を使った内容とも連動させて押さえておくと良い単元かと思います。

指数不等式:大小についても底に注目

ここからは、指数不等式について解説をします。

指数が絡む不等式が出てきたら、指数関数のグラフの概形を意識します。

f(x) = ax は、底 a となっている実数 a によって、グラフの概形が異なります。

0 < a < 1 のときは、f(x) は単調減少です。

a > 1 のときは、f(x) は単調増加です。

これらの事実に基づいて、大小についての条件を満たす範囲を考察します。


【練習問題5】

(1/2)x > 16 となるときの x の範囲を求めてください。


たとえ不等式となっても、底をそろえるのは指数方程式のときと同じく大切になります。

16 = 24 と底 2 について書き換えることができます。

今、左辺は 1/2 が底となっています。

このようなときは、マイナスの指数が役立ちます。

1/2 = 2-1 なので、
指数法則を使うと、
(1/2)x = (2-1)x = 2-x となります。

このため、与えられた不等式は、次のように書き換えられます。

つまり、
2-x > 24 です。

マイナスが絡むと、グラフのイメージが、そのまま使えなくなり、求める範囲を逆にしてしまうかもしれません。

そこで、変数の置き換えることで、紛らわしい指数不等式から、より扱い易い実数の不等式の話の議論へと持ち込むことを考えます。

指数不等式を実数についての不等式へとレベルダウンすることで、扱い易い状況で論理的に最終的な答えとなる範囲を導きます。

t = -x と置くことにします。

そして、f(t) = 2t とします。

より扱い易い議論へ

f(t) = 2t > 24 という指数不等式だと、指数関数のグラフのイメージ通りです。

t = 4 のときが、左辺と右辺が等しいときです。

底 2 は 1 より大きいので、指数関数のフラフは単調増加です。

そのため、t > 4 のときに、
2t > 24 = 16 となります。

これで、t > 4 という不等式に着地しました。

ただ、求めたいのは x についての範囲です。

そこで、自分で置いた文字 t を元に戻します。

t = -x だったので、
t > 4 は、
-x > 4 ということです。

これで、-x > 4 という高校一年のときに学習した実数についての不等式へとレベルダウンしました。

-x > 4 を不等式についての同値変形で、x についての範囲を求めます。

両辺に -1 を掛けます。

不等号の向きが逆転するので、そこは注意です。

すなわち、
x < -4 となります。

これが、(1/2)x > 16 を満足する x の範囲です。

【関連する記事について】

数II についての指数方程式について、述べてきました。

他の数II の記事も投稿しています。

底の変換公式

さらに底が 10 のときです。

常用対数

そして、
対数方程式

これらは、指数関数についての理解を前提として、対数関数との逆対応を考えることが大切になる内容となります。

また、数B についての数列についての記事もあります。

第n項までの和

このような和についての内容も、よく受験問題で出題されます。

やはり基礎から内容をきっちりと押さえておくことが大切かと思います。

それでは、これで今回の記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。

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