極大値と極小値の和 | 三次関数についての典型的な問題を解説【数2】

極大値と極小値の和-表紙

" 極大値と極小値の和 “に関連する三次関数の問題を解説しています。

三次関数は(一次)導関数 f'(x)について、
f'(x) = 0 が異なる二つの実数解をもつときに極値をもちます。

このことを利用して、f'(x) = 0 についての二つ解に関する基本対称式を用いて計算を進めます。

数2の微分の単元と基本対称式を用いた式の書き換えの融合問題を扱います。

はじめに三次関数の極大値と極小値の和について解説をします。

その後で、極大値と極小値の差に関連した問題の解説もしています。

極大値と極小値の和 :準備の内容

y = f(x) を三次関数とするとき、この関数が極値をもつことの必要十分条件が分かっています。

f'(x) は二次関数なので、
f'(x) = 0 という x についての二次方程式が異なる二つの実数解をもつときに、もとの三次関数が極大値と極小値をもちます。

必要十分条件なので、f'(x) = 0 が異なる二つの実数解をもつことと、三次関数が極値をもつということを適宜、書き換えて使うことができます。

そこで、三次関数が極値をもつとき、
f'(x) = 0 の二つの解を x = a, b としたときに解と係数の関係が使えます。

a+b, ab の値を、この関係で押さえておき、基本対称式についての式の変形を行って計算を進める流れとなります。

そこで、高一の頃から計算の単元で出てきた式の書き換えを復習しておきます。

今回は、数2の微分の単元についての記事ですが、基本対称式を使った式の書き換えを利用します。

計算単元の復習

a+b = s, ab = t とします。

このとき、
a2+b2 という式を次のように書き換えることができます。

a2+b2 = (a+b)2-2ab
= s2-t となります。

二乗の差については、
a2-b2 = (a+b)(a-b) なので、
a-b の値が決定できれば、この式から書き換えることができます。

(a-b)2 = (a+b)2-4ab
= s2-4t ということから、
a-b をプラス・マイナスとルートを使った形で強引に計算するときもあります。

ただ、この方法をする前に、a-b の値が、問題文からの条件を考えるとスムーズに決定できることがあるので、二乗の差については注意をしておくと良いかと思います。

三乗和の公式については、リンク先の記事で、その証明を解説しています。

この記事では、その結果を使うことにします。

a3+b3 = (a+b)3-3ab(a+b)
= s3-3ts
= s3-3st となります。

これで三乗和の公式と結びつけて考えます。

なお、b に -b を代入すると、
a3-b3 = (a-b)3+3ab(a-b) となります。

やはり、a-b の値が決定できていれば、三乗の差についての値も決定できるということになります。

それでは、これらの高一の計算の復習内容を使って、極大値と極小値の和を求める問題を扱います。

極大値と極小値の和 :実践練習

【練習問題1】

実数 p を定数とし、
f(x) = x3+px2+px+3 という三次関数が与えられたとします。

そして、この三次関数が x = a, b (a, b は実数で a < b) において、極値をもつとします。

さらに、f(a)+f(b) = 6 とします。

このとき、定数 p の値を求めてください。


必要条件・十分条件を考慮した論理が効果を発揮します。

三次関数が極値をもつため、
f'(x) = 0 という x についての二次方程式が異なる二つの実数解をもちます。

f'(x) = 3x2+2px+p なので、
3x2+2px+p = 0 が異なる二つの実数解 a, b をもつことになります。

解と係数の関係から、
a+b = -2p/3, ab = p/3 です。

今度は、二次方程式についての書き換えを行います。

p についての範囲も押さえておきます。

最後に値を決定するときに、この範囲が決め手になるので、忘れないように注意です。

この判別式を D とすると、異なる二つの解をもつことから、D の値は 0 より大きくなっています。

2p が一次の項の係数より、
D/4 = p2-3p > 0 です。

すなわち、
p(p-3) > 0 です。

そのため、
p < 0 または p > 3 …★

この p についての範囲は最後に使います。

仮定された等式を利用

f(a)+f(b) = 6 と問題文に書かれていました。

この極大値と極小値の和について、解と係数の関係で得られた等式を利用することを考えます。

x = a, x = b を与えられた三次関数の式に代入します。

f(a) = a3+pa2+pa+3,
f(b) = b3+pb2+pb+3 です。

これらを辺々足すと、
f(a)+f(b) =
(a3+b3)+p(a2+b2)+p(a+b)+6 となります。

仮定より、f(a)+f(b) = 6 より、
(a3+b3)+p(a2+b2)+p(a+b)+6
= 6 です。

つまり、
(a3+b3)+p(a2+b2)+p(a+b) = 0 です。

これは、解と係数の関係を使うしかないじゃないかというくらい基本対称式を使った書き換えのチャンスです。

三乗和から順に書き換えます。

a+b = -2p/3, ab = p/3 という先ほど導いた等式を使います。

a3+b3 = (a+b)3-3ab(a+b)
= (-2p/3)3-3・p/3・(-2p/3),
p(a2+b2) = p{(a+b)2-2ab}
= p{(-2p/3)2-2p/3},
p(a+b) = -2p2/3 です。

ちょっと計算が大変ですが、大学受験では、これくらいの量だと計算を進めることが多いです。

三つの等式を辺々足すと、左辺の値は 0 でした。

右辺の値を p を用いて計算し、0 とイコールで結びます。

極大値と極小値の和-実践練習

よって、
p2(2p-9) = 0 です。

p についての三次方程式ができました。

ここで、上で導いた不等式★を使います。

p < 0 または 3 < p という範囲に実数 p が含まれていました。

そのため、p ≠ 0 です。

これより、
p2(2p-9) = 0 の両辺を p2 で割ることができます。

つまり、
2p-9 = 0 です。

これで、p = 9/2 と求まりました。

数2になると、この問題のように論理を使った議論の進め方が多くなります。

普段から必要条件や十分条件を意識してトレーニングをしておくと良いかと思います。

最後に極大値と極小値の差に関連した問題を述べておきます。

この問題は、【練習問題1】を解いたときのように、基本対称式を使った計算で答えを求めることができます。

ただ、同じ様な解き方になるので、違ったアプローチをしてみます。

f(x) の導関数 f'(x) について、
∫ f'(x) dx = f(x)+C (C は積分定数)となることを使います。

定積分だと、積分定数が打ち消されて消滅します。

st f'(x) dx = [f(x)+C]st
= {f(t)+C}-{f(s)+C}
= f(t)-f(s) となります。

極大値と極小値の差

【練習問題2】

実数 s, t を定数とし、
f(x) = 2x3+sx2+tx という三次関数が与えられたとします。

また、実数 a, b は a < b で、
x = a, x = b において、この三次関数がそれぞれ極大値と極小値をとるとします。

さらに、b-a = 1 となっていたとします。

このとき、f(a)-f(b) の値を求めてください。


f'(x) = 6x2+2sx+t です。

f'(x) = 0 は、三次関数 f(x) が極値をもつことから、異なる二つの実数解をもちます。

ここで、x = a, b が解なので、因数定理を使います。

6x2+2sx+t = 0 の解が、
x = a, b より、
f'(x) = 6(x-a)(x-b) です。

よって、
f(a)-f(b) = [f(x)]ba
= ∫ba f'(x) dx
= ∫ba 6(x-a)(x-b) dx
= -6∫ab (x-a)(x-b) dx

上端と下端を入れ替えて、-1 倍にしたのは、1/6公式を使うためです。

二つの実数解と二次関数とくれば、この公式を使うチャンスです。

下端の値 a と左側の (x-a) の a を、上端の値 b と右側の (x-b) の b を揃えておくと、機械的に定積分の計算規則から値が従うという公式になります。

したがって、
f(a)-f(b) =
-6∫ab (x-a)(x-b) dx
= -6×(-1/6)×(b-a)3 となります。

仮定より、b-a = 1 だから、
f(a)-f(b) = -6×(-1/6)×13
= 1 です。

これで極大値と極小値の差が 1 と分かりました。

マーク式の問題などで短時間で問題を解くときに、1/6公式を使った素早い計算が役立つこともあるかと思います。

【関連する記事】


3変数の対称式
1の3乗根(ωオメガ)
合同な放物線(数2の積分)


数2の微積の内容ですが、因数定理に関連した単元の内容との関連が強いです。

そのため、それらに近い記事を置いておきます。

これで、今回のタロウ岩井の記事を終了します。

読んで頂き、ありがとうございました。